かぶとむし日記

映画、音楽、本の感想を中心に日記を更新しています。

知人夫妻と川越の街を歩く(3月1日)。


千葉のSさん夫妻と3月1日に会うことになっていた。川越を散歩したい、という希望だったけれど、あいにくの冷たい雨。それでも、川越散歩を決行する。クルマを市街のパーキングに停め、そこから傘をさしての散歩。


雨のなか蔵づくりの町を歩いてみたが、意外に観光客が多い。寒いので、熱燗を飲ませるような食堂を探したがみつからない。



散歩は早々に切り上げ、市街から少し離れたところにある「野草庵」という和食のファミレスへ、妻の運転でいく。


お店にはいる。通された部屋から見える庭に、雨が落ちている。降りが強くなってきた。外を歩いているときは「かんべんしてよ」の雨だったが、室内でお酒を飲みながら見る雨は、それほど悪くない。


Sさんの奥さんは、ポール・マッカートニーの東京ドーム公演を3日間とも確保したという。わたしは、今回は自重して1日だけ。我慢できなくなったら、またなんとか手段を講じよう。


Sさんの奥さんは息子連れ、わたしも息子といくので、公演前にドームで会う約束をする。



Sさんは、11月いっぱいで会社を辞めた。それからの3カ月、日々図書館や美術館通い、という隠居生活をおくっている。「いいなあ。隠居暮し、憧れだよ」というと、そろそろ煮詰まってきた、懐はさびしいしさ、おもっていたほど優雅な気分ではないよ、という。


Sさんは最近読んだ、古田亮著『特講 漱石の美術世界』がおもしろかったという。


古田亮さんといえば、、、


2013年の5月、「夏目漱石の美術世界」展を東京藝術大学美術館へ見にいった。すばらしい展覧会だった。文学研究者ではとうてい企画できない美術と漱石の関連・・・その徹底的なこだわりに目をみはった。


同行していた息子(33歳)が、「この展覧会を企画したひとが、いまから説明をしてくれるらしいけど、聞いてみる?」というので、「いいね、聞いてみよう」と参加。


その企画者が古田亮さんだった。古田さんの解説は、とても興味深かった。


例えば、『夢十夜』の「第十夜」、豚が何万と次々襲い掛かってくる夢のもとは、ブリトンリヴィエラーが描いた「ガダラの豚の奇跡」がもとになっているなんて、絵の知識のないわたしは、はじめて知った。



ブリトンリヴィエラー「ガダラの豚の奇跡」


なかには『三四郎』の作中人物、原口画伯が描く、美禰子の肖像画など、実際には存在していない架空の絵まで、東京藝術大学の先生の手で「復元」されていた。その遊び心もたのしい!



佐藤央育画/「三四郎」原口画伯作「森の女」(推定試作)



焼酎のボトルがなくなって、また単発で芋焼酎の水割りなど飲んでいたら、4時間くらい経ってしまった。


次回は、のんびり千葉の小湊鉄道でも乗って、海の幸のうまいところへ泊って一杯やろうか、ということで散会。お店の外へ出ると、雨はいっそう強くなっていた。



Sさん夫妻をクルマで川越駅へ送って、別れる。