4月18日、妻と池袋で待ち合わせ、有楽町スバル座へジョン・リドリー監督『JIMI:栄光への軌跡』を見にいく。夭折した天才ギタリスト、ジミ・ヘンドリックスを描いた映画。ネットで予告編を見て、ワクワクしていた作品。
映画がはじまってからもそのワクワク感が続く。無名のバンドでギターを弾いているジミを、当時キース・リチャーズの恋人だったリンダ・キースが見つけ、ジミの未知の可能性に注目。アニマルズのベーシスト、チャス・チャンドラーにジミを紹介する。チャス・チャンドラーも、ジミの非凡なギター・テクニックに驚嘆し、マネージャーを買って出る。
ジミの成功への道筋がひとつひとつ拓けていく。
ジミを演じるアンドレ・ベンジャミンも雰囲気あるし、キースの恋人で、ジミの才能を発見するリンダ・キース役イモージェン・プーツも、いい。リンダ・キースは、男性としてのジミにも想いを寄せているのに、ジミはほかの凡庸な女性と同棲して、リンダを怒らせてしまう。
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好きなミュージシャンたちのそっくりさんが登場するのも、たのしい。
アニマルズのベーシスト、チャス・チャンドラー(アンドリュー・バックリー)は、顔見世ではなく、リンダ・キースとともに、ジミの成功を助ける重要な役だ。
その他、キース・リチャーズ、エリック・クラプトンには、思わず心のなかで「出た出た」と拍手を送ってしまう。しかし、似ているような似てないような・・・。
ちらっとだけで、よく顔も確認できなかったけど、ポール・マッカートニーやジョージ・ハリスンも登場する。
このへんまではたのしかったが、、、
ジミの圧倒的な演奏がスクリーンの大きな音でいつ再現されるのか、と、それが音楽映画を見る楽しみであるのだけれど、映画のはじめからギターをつま弾くシーンはあっても、どれも断片的で完走しない。だんだんストレスがたまりはじめる。
きっと、このストレスは最後のライヴ・シーンで、一気に晴らしてくれるのだろう、と我慢して見守っていたのだけれど、ジミの代表的な曲は1曲もステージで(スタジオでも)演奏されず、終わってしまった。
唯一1曲まるごと演奏されたのは、ビートルズが1967年に発表した『サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド』のタイトル・ソング。
ジミがビートルズがアルバムを発表した数日後にライヴ演奏して、会場にいたポール・マッカートニーを驚嘆させた、という伝説的なシーンの再現には興奮した。
しかし、結局は映画のなかでジミヘンの代表作が1曲も演奏されないのだ。これではドラマの部分がいくら興味深くても、拍子抜けしてしまう。きっと何か理由があるにちがいない、とおもい帰宅してからネットを検索してみると、
こんな裏事情がヒットした↓
http://www.cinematoday.jp/page/N0043805
なぜ、曲の使用許可が下りないのか、その事情までは書かれていない。「画竜点睛を欠く」という、古いことわざが頭に浮かぶ。なんだか気持ちがすっきりしない映画のあと味だ。
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●ジミがビートルズの「サージェント・ペパーズ・・・」を演奏している実際のシーンがこれ。映像の状態は悪いけれど、興奮は伝わってくる↓
https://www.youtube.com/watch?v=Op8C4FzFwuQ