かぶとむし日記

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原田眞人監督『日本のいちばん長い日』を見る(8月14日)



お盆はとくに遠くへ出かけないので、涼しい映画館で過ごす。8月14日の午前、イオン板橋で原田眞人監督の『日本のいちばん長い日』を見る。リメイクだとおもうけど、むかしのものも細かな部分は忘れているので、それにとらわれすぎることなく見ることができた。


つまらくはなかったけれど、主役級の登場人物が立派すぎるので、気持ちが入りきれない。切腹を覚悟しながら、日常生活では笑みすら浮かべて、ひとつひとつの自分の仕事をこなしていく。こういう役は、役所広司にはぴったりかもしれないが、杉田成道監督の『最後の忠臣蔵』(2010年)でも、ほとんどこれと同じ切腹を覚悟しながら怖れることのない主人公を演じているので、既視感が拭えない。


岡本喜八監督の『日本のいちばん長い日』(1967年)は、今回ほど昭和天皇の強い印象がなかった。映画で天皇を扱うことじたい、この日本では、むずかしい規制があるのだろう。


本木雅弘演じる昭和天皇は、端正で二枚目。凛として威厳があり、最後は、これ以上の国民の犠牲を案じ、戦争の終結を決断する。天皇を映画で扱うとすれば、こういう理想的な描き方でなければ、問題が生じて映画化が不可能なのだろうか。


阿南役の役所広司にしても、本木雅弘昭和天皇にしても、立派過ぎて、終戦に至るまでの真実が切実に伝わってこない。


半藤一利の原作は、題材をどう描いているのだろう?



『日本のいちばん長い日』公式サイト↓
http://nihon-ichi.jp/