かぶとむし日記

映画、音楽、本の感想を中心に日記を更新しています。

塚本晋也『野火』を見る(8月31日)



朝、池袋のトヨペット板橋店(池袋店に間借り中)へ修理に出したクルマを引取りにいく。いったんアパート近くの駐車場へクルマを置いて、電車で渋谷のユーロスペースへ向かう。


朝からずっと小雨が降っている。1日こういう天気のようだ。


電車のなかで、買ったまま読みそびれていた「新潮 2015.5」掲載の滝口悠生(たきぐち・ゆうしょう)作「ジミ・ヘンドリックス・エクスペリエンス」を読みはじめる。タイトルに惹かれたのはもちろんだけれど、滝口悠生さんの本はこれまで単行本を2冊読んでいるので、タイトルとともに興味を惹かれて買っておいたもの。



ユーロスペースでチケットを買ってから、上映時間の午後1時まで20分ほど時間があったので、近くのカレー屋で昼飯。



塚本晋也監督の『野火』(原作・大岡昇平)は、強烈な映画だ。


太平洋戦争末期、田村一等兵塚本晋也)は、フィリピン・レイテ島の森のなかをさまよう。行く先々に日本兵の死体がころがっていた。満足な死体は少なく、半身はどこかへ吹っ飛び、多くの死体は半ば腐敗している。なかにはまだ意識のあるものもいるが、からだには蛆がわき、ハエが周囲を飛び交っている。


空腹と、いつアメリカ兵に発見されるかもしれない恐怖におびえながら田村一等兵は、森から森へ歩く。食べるものが枯渇して、生きることをあきらめ地面に横たわったとき、ある日本兵から「猿の肉」といわれるものを食べさせられて、救われる。


徹底した地獄絵の連続で、目をそむけたくなる。けれど、これが戦争なのだろう。ひたすら無惨極まりなく、ヒロイズムの入る余地などどこにもない。


昨日妻といっしょに見にくる予定でいた。しかし、妻は気がすすまず、結局ひとりで見にくることになった。しかし、ひとりでよかった、とおもう。


映画館を出たら、まだ小雨が降り続いていた。渋谷で手ごろな居酒屋が見つからなかったので、池袋まで出て、少し飲んでアパートへ帰る。



『野火』公式サイト↓
http://nobi-movie.com/