かぶとむし日記

映画、音楽、本の感想を中心に日記を更新しています。

新文芸坐で、にっかつロマンポルノを見る(9月26日)

10時15分から池袋の新文芸坐で、根岸吉太郎監督『狂った果実』(1981年)と相米慎二監督『ラブホテル』を見る。





狂った果実』は、今回はじめて。『ラブホテル』は公開当時見ていて、むかしの記憶がよみがえる。


どちらの作品も、裸やセックスのシーンはあるけれど、主人公の女性が彫り深く描かれ魅力的。蜷川有紀という女優は、叔父が演出家の蜷川幸雄で、従妹が写真家・映画監督の蜷川実花・・・というのは映画をみたあとに、ウキペディアを見て知った。


お金持ちの奔放な女性(蜷川有紀)が、内心好意をもっている青年(本間優二)の破滅を、助けることもなく、黙ってみつめる表情が美しい。


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蜷川有紀さん


『ラブホテル』は、公開当時、主演の速水典子に惹かれた。彼女の裸体がアップされるシーンを、ドキドキして見た。


事業で破産した村木(寺田農)は、デリヘリ嬢・名美(速水典子)をホテルに呼び、無理心中しようとするが、未遂でおわる。二年後、村木は、美しい名美と再会するが、名美は自殺しようとしている。妻のいる上司との不倫に、悩み疲れていた。


傷心のふたりは惹かれあうが、村木には事業で失敗してから別居していて、ときどき村木のアパートへ通ってくる妻がいる。最後村木は、名美からも妻からも身を隠してしまう。


30年ぶりに見ても、やっぱりこの作品いい。



●速水典子さん


2本の作品に共通して感じられるのは、青春の悲しみ。それがうすっぺらでなく伝わってくる。


根岸吉太郎相米慎二も、以後もみずみずしい青春映画をたくさんつくっていくけれど、この2本は、それらの傑作群に比べて負けていない、とおもう。