かぶとむし日記

映画、音楽、本の感想を中心に日記を更新しています。

早稲田松竹でインド映画の2本立てを見る(1月31日)


公開されている新しい映画に興味のわくものがなかったので、早稲田松竹へサタジット・レイ監督の2本立てを見にいく。映画で未知の感動をできれば、という期待で見にいったけれど、2本とも期待以上の感銘を受ける。


どちらも最近の映画ではなくて、『チャルラータ』は1964年、『ビッグ・シティ』は1963年と、わたしが中学生のころの古い作品。でも、そういう古めかしさは感じなかった。



『チャルラータ』は、豪邸に住む妻・チャルラータと、政治新聞の発行に情熱を燃やす夫・ブポティの物語。妻のチャルラータは、生活になにひとつ不足なく使用人に日常の世話をまかせ、自身は刺繍をしたり読書をしたりの日々。しかし、不自由はないが、自由もない。つねに屋敷のなかで暮らし、塀の外は、双眼鏡をとおして眺めるだけ。



夫は仕事に夢中で彼女とろくに話す時間もなく、やってきた自身の従弟(いとこ)・アマルに、妻の話相手をたのむ。政治以外の文学や芸術に興味をもたない夫とちがって、アマルは、自身ピアノを弾き、書いたものを雑誌に投稿しようとおもっているほどの芸術や文学好き。寂しいチャルラータに、はじめて心をひらいて話す相手があらわれた。チャルラータは、アマルに急速に惹かれていく。


チャルラータのアマルへの思慕は、だんだん抑えがたくなって、ついに夫にも発覚するときがくる・・・。




『ビッグ・シティ』は、より身近な話題で、理解しやすい。銀行員の夫シュブラトは、両親、妹、妻、息子とそれほど広くない家に5人暮らし。生活も苦しい。シュブラトの父はメガネを欲しがっているが、それを買うだけのゆとりがない。



家計のたしになれば、と妻のアラチは自動編み機の個別販売員の募集に応募し、合格する。アラチは、営業をやりはじめて、自分の意外な才能を発見。自動編み機が売れると、成功報酬としてお金がはいってくる。夫や両親や義理の妹や息子に、プレゼントもできる。だんだん仕事がおもしろくなってきた。


ところが、妻が働くことに夫の両親は大反対。共稼ぎがふつうの現代からみると、ちょっとびっくりするほど。夫までが、仕事が忙しく、外出が多くなった妻に不満を募らせ、仕事をやめるよう言い出すが、そうしたさなか、夫の銀行が倒産。妻と夫の立場が逆転する。



妻役は、2本ともマドビ・ムカージー。有閑マダムと、生活が苦しくて働きに出る妻と、好対照なふたりの妻を演じている。わたしは有閑マダムの方には現実的な共感をもたないけれど、『ビッグ・シティ』の生活苦で働く妻役には、親しみを感じて、こちらのほうが話としてはおもしろかった。


どちらの作品もマドビ・ムカージーが美しい! 



早稲田松竹での上映は、2月5日(金)まで。


早稲田松竹スケジュール↓
http://www.wasedashochiku.co.jp/lineup/schedule.html


リバイバル上映されたときのホームページ↓
http://www.season-ray.com