かぶとむし日記

映画、音楽、本の感想を中心に日記を更新しています。

ひさしぶりに聴く、ビートルズ『ライブ・アット・ザ・ハリウッド・ボール』。


1977年にLP盤として発売されて以来、CD化されていなかったハリウッド・ボールのライブ盤が発売された。1964年と1965年の公演が収録されている。ライブ・バンドとしてのビートルズが絶頂期ころの音源。演奏も迫力があって、1966年の武道館来日公演にみられたような一種の疲労感もない。


そういう貴重なライブ音源だったのに、いままで発売されなかったのは、やっぱり当時の録音技術が現在発表するには、満足のいくものではなかったからだろう。1977年に発売されたときも、元ビートルズの4人はそれを渋っていたような記憶がある。


しかし、ひさしぶりに聴く『ライブ・アット・ザ・ハリウッド・ボール』は、音がグンとよくなっている。以前は観客の悲鳴と全部の楽器が渾然一体となって、それはそれで迫力があったけれど、楽器のひとつひとつの音がクリアでなかった。リンゴのドラムも、シンバル、ハイハット、バスドラの音がゴチャゴチャになっていた。それが今回聴きとりやすくなっている。リンゴの正確に叩き出す迫力のドラム・ビートがしっかり聴こえてくるのがうれしい。


現在、公式に発売されているライブ音源としては、BBCラジオの音源があるけれど、あれは観客のいない早朝にラジオ用に演奏したものであるから、いわゆるライブ会場で観客を前にしたものとはちがう。それと『ビートルズ・アンソロジー』にも一部ライブ音源が収録されているけれど、細切れの抜粋なので、コンサート会場で、まとまったビートルズのライブを聴いているような臨場感は味わいにくい。





今回は、ロン・ハワード監督の映画『ザ・ビートルズ :EIGHT DAYS A WEEK The Touring Years』のサントラ盤としての扱いで、発売されたもの。


映画のなかでハリウッド・ボールのライブ音源が使われているのかどうかわからない。映像が残っていれば、断片的にも聴くことができるかもしれないが、この音源が必ずしもビートルズの最高のプレイを記録したものというわけではなく、1964年〜1965年には、あちこちのコンサート会場でこうした熱い興奮に包まれたライブが行われていたはずなので、ハリウッド・ボールもそのひとつ。


ただ、ビートルズの正式なライブ・アルバムとしては、今回発売された『ビートルズ:ライブ・アット・ザ・ハリウッド・ボール』しかない。映画でビートルズの姿をしっかり目に焼き付け、それから繰り返しこのライブ盤を堪能することにしよう。



映画『ザ・ビートルズ〜EIGHT DAYS A WEEK ‐ The Touring Years』予告編↓
https://www.youtube.com/watch?v=3Rs_hQP9JbM