かぶとむし日記

映画、音楽、本の感想を中心に日記を更新しています。

『ぼくのおじさん』と『湯を沸かすほどの熱い愛』をハシゴする(11月5日)



11月5日土曜日、朝一番(午前9時20分より)山下敦弘(やました・のぶひろ)監督の『ぼくのおじさん』を、イオン板橋へ見にいく。


山下敦弘監督は、『ばかのハコ船』(2003年)をビデオで見て以来、注目のひと。以来、山下作品は全部見るようにしている。『ぼくのおじさん』も、予告編で見る限り見たい作品ではなかったけれど、監督が山下敦弘だということを知って、見にいく。


おとうさんやおかあさんなど、身近なひとについて作文を書いてください、という学校の課題で小学生の雪男が選んだのが、家で何もしないでごろごろしている「おじさん」のこと。このおじさんの行状を作文で書いたという設定で、映画はすすんでいく。


ヌーボーとして何を考えているのかわからない男の役を、松田龍平は『まほろ駅前多田便利軒』や『舟を編む』でもやっている。適役なのかもしれないけれど、既視感があって、新鮮な印象を受けなかった。映画全体もぼんやりしていて、山下敦弘監督の特徴である、生きるのに不器用なひとの心情をていねいに描いていく、手際の鮮やかさが感じられなかった。


ぼくのおじさん』予告編↓
https://www.youtube.com/watch?v=ybTxCzi8NgI




川越駅で妻と待ち合わせる。昼を食べ、「はつかり温泉」で日帰り温泉へはいる。


時間調整をして、妻といっしょに「ウニクス南古谷」へ、中野量太監督の『湯を沸かすほどの熱い愛』を見にいく。いわゆる登場人物が余命何ヶ月の命、という「余命もの」は最近多くて、あまり見たいテーマではなかったけれど、ブログ「一日の王」の詳しい感想を読んで、俄然見たくなった。「一日の王」は、これまでもその映画を見るかどうか迷ったときの指針として、とてもお世話になっているサイト。


「一日の王」↓
http://blog.goo.ne.jp/taku6100/e/e286a6da2f9b5b5458d2a4d2fedcab6e


「余命もの」がセンチメンタルに描かれていたら最悪。その反動で明る過ぎて描かれていても白々しい。だから、とても扱いがむずかしいような気がする。


『湯を沸かすほどの熱い愛』は、そのどちらにも偏らないで、成功している。そのために、いろいろな仕掛けを用意して、観客を惹きつけていく。主人公は、宮沢りえなしに考えられないほどの名演。センチメンタルにならず、賢明で頼もしい母を演じている。杉咲花は、名子役。いつ見ても感心してしまう。今回もいじめにあう少女を繊細に演じている。オダギリジョーは、いつものごとくのほほんとして頼りにならないけれど、女性にモテるという役どころを今回もしっかりキメている。


『湯を沸かすほどの熱い愛』予告編↓
https://www.youtube.com/watch?v=K8ooCVZTtys