かぶとむし日記

映画、音楽、本の感想を中心に日記を更新しています。

アンジェイ・ワイダ監督の遺作『残像』を見る(7月1日)。



池袋で妻と待ち合わせ、神保町の岩波ホールへ、アンジェイ・ワイダ監督の『残像』を見にいく。少し早く着いたので、神保町の古本屋を見て歩いていたら、小雨が降ってきたので、三省堂の2階の喫茶でひと休みする。


午前10時半、岩波ホールにもどってチケットを買う。岩波ホールはネット予約ができないので、整理券をもって開場を待つ。



アンジェイ・ワイダ監督の遺作『残像』は、見ごたえがあった。


第2次世界大戦後、ソビエト連邦の影響下にあるポーランドが舞台。全体主義のなかで、権力は、芸術を政治に奉仕させようとするが、前衛画家・美術教師のストゥシェミンスキ(実在のひと)は、それに応じない。迫害がストゥシェインスキを襲う。教師の職を失い、絵は売れなくなる。生活は窮乏し、心身ともに追い込まれていく。


主演のストゥシェミンスキを演じた役者、ボグスワフ・リンダの厚みのある演技に見入ってしまった。


徹底したリアリズムで、芸術に忠実であるがために追い込まれていく芸術家の苦況を冷徹に描いていく。最後まで、安易な救いはなく、重ぐるしいままにおわっていく。


<権力が腐敗して全体主義になる、それは右も左もない。どちらも恐ろしい。そうなるまえに、立ち止まって考えなければならない>・・・見終わってそんなことを考える。


『残像』予告編
https://www.youtube.com/watch?v=rrNUzBxA80k



岩波ホールを出ると、まだ雨が降っていた。少し歩くと「築地食堂 源ちゃん」というお酒も飲めそうなお店があったので、ここで昼食をすませて川越へ帰る。