かぶとむし日記

映画、音楽、本の感想を中心に日記を更新しています。

イバーノ・デ・マッテオ監督『はじまりの街』と、古本屋で見つけた志賀直哉関連本4冊(11月21日)。


11月21日、月曜日。川越を出て、神保町の岩波ホールへ、イバーノ・デ・マッテオ監督の『はじまりの街』を見にいく。ここは、ネットで予約できないので、少し早く着く。それでも、まだ整理券を配布する窓口があいてなかったので、ひさしぶり神保町の古本屋を見て歩く。


3件の古本屋さんで、志賀直哉関連の本を計4冊購入。どれもむかし読んだけれど、引っ越しや実家へあずけたりして、いまは、どこにあるか行方不明になっているもの。


しかし、電子書籍も含めて未読の本は溜まるばかり。生きているうちにどれだけ読めるかな、と考えてしまう。



イバーノ・デ・マッテオ監督『はじまりの街』は、イタリア・フランスの合作映画。

アンナと12歳の息子ヴァレリオはスーツケース1つを提げ、ローマから親友カルラが暮らすトリノの街へと移り住む。夫のDVから逃れ、見知らぬ土地で新たな生活を切り開くため仕事探しに焦るアンナと、ひとりで寂しい時間を過ごす息子ヴァレリオとの溝は深まっていった。


どんな逆境にもめげることのない母、そして健気な息子、そんな2人を陽気なカルラ、近所のビストロオーナー(マチュー)があたたかく見守っていく。


(「映画.com」から)
http://eiga.com/movie/86741/


夫のDVから逃れて、アンナ(マルゲリータ・ブイ)と12歳の息子はヴァレリオ(アンドレア・ピットリーノ)は、アンナの学生時代からの友だち、カルラ(ヴァレリア・ゴリーノ)のもとへ身を寄せる。


このカルラは、逃れてきた母子を歓迎する。このカルラがいい。むかしの友人が身を寄せる、最初は歓迎するが、日が経っていくと、だんだん最初の好意は薄れていって、うとましくなる・・・そういう展開がつい予測されてしまうが、カルラは、最後までこの友人の母子を見放さない。それどころか、彼らが遠慮して他に住まいを探そうとすると、その家にケチをつけて、なんとか自分のところへ留まらせようとする。そのために、好きでないからと置かなかったテレビをヴァレリオのために買う。さらに、知らぬ土地でさびしい想いをしているこの少年のために、子犬まで飼って心を癒そうとする。



アンナと学生時代からの友人・カルラ。カルラの明るさが、この映画に救いを与えてくれている。



ヴァレリオは、友だちができず、街をひとり自転車で走ってさびしさを紛らわせる。



近所に住むマチュー(ブリュノ・トデスキーニ )も、距離をもって、あたたかく母子を見守っている。


このカルラの善意が、ムリ押しのおせっかいではないし、同情でもなくて、距離感が絶妙。


母も子も、知らぬ土地で、苦労する。全体には、その大変さをリアルに描いた作品だけれど、カルラと隣人マチューの存在があって、後味は気持ちがいい。


押しつけがましくない優しさに感動した。


はじまりの街』予告編
https://www.youtube.com/watch?v=W8KF-u-gN8k



帰り、一度寄ったことのある「源ちゃん食堂」で、刺身とシラスの定食と酎ハイを2杯飲んで、アパートへ向かう。