12月9日、土曜日。日比谷の「トーホーシネマズシャンテ」で、ミック・ジャクソン監督の『否定と肯定』を見る。
1994年、イギリスの歴史家デビッド・アービングが主張する「ホロコースト否定論」を看過することができないユダヤ人女性の歴史学者デボラ・E・リップシュタットは、自著の中でアービングの説を真っ向から否定。アービングは名誉毀損で彼女を提訴するという行動に出る。
訴えられた側に立証責任があるイギリスの司法制度において、リップシュタットは「ホロコースト否定論」を崩す必要があった。そんな彼女のために組織されたイギリス人大弁護団によるアウシュビッツの現地調査など、歴史の真実の追求が始まり、2000年1月、多くのマスコミの注目が集まる中、王立裁判所で歴史的裁判が開廷した。
(「映画.com」から)
http://eiga.com/movie/86500/
ナチスによるユダヤ人虐殺がなかった、と主張するデヴィッド・アーヴィングと、歴史的事実を歪めてはならない、と彼の思想を否定するユダヤ人女性歴史学者・デボラ・E・リップシュタットとの裁判闘争を映画化したもの。
わたしには、レイチェル・ワイズの知的な美しさもこの映画の魅力だった。
ティモシー・スポールが、ホロコーストの否定論者・アーヴィングを演じる。
これだけ世界的な真実を、「なかった」とするひとたちが出てくるのだから、わからない。事実をもとにしたもののせいか、裁判に映画的な盛り上がりは感じなかった。アーヴィングの主張は、いくらなんでもありえないではないか、とおもってしまう。
ただ、イギリスでは提訴された側が、訴えた側の論拠を否定する必要があって、裁判は簡単にはいかない。アーヴィングは、新たな資料を発掘し、その一部を恣意的に利用し、「ホロコースト」を否定。デボラ・E・リップシュタット側(の弁護士たち)は、その虚偽を、ひとつひとつ明らかにしていかなければならない。
映画の内容よりも、自国のことに置き換えてみて、怖ろしいことだ、とおもった。
「南京虐殺」や「従軍慰安婦」や「関東大震災の朝鮮虐殺」の事実を認めたがらない政権が、多くの国民的支持を受けているこの国は、この先どうなっていくのだろう?
その意味で、この映画はひとごとでなかった。
『否定と肯定』予告編
https://www.youtube.com/watch?v=htRyepLg7To
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帰り、山手線で上野へいき、立飲み「たきおか」へ寄って、しばらく喉を潤し、川越へ帰る。