12月16日、土曜日。市川市文学ミュージアムへ、「永井荷風展」を見にいく。お昼頃アパートを出て、池袋から山手線。日暮里から京成電車へ乗り換え。京成電車に乗るのは、ひさしぶりで、見えてくる景色がたのしい。
鬼越駅で降りたが、小さな駅で、あてにしていた駅前の、周辺の地図や案内板もない。駅員の姿も見えないので、文学ミュージアムまでの道がわからない。これなら目的地までの距離が少し遠くても、本八幡駅で降りたらよかった、と後悔しても、おそい。持参してきた「市川さんぽ」という観光本の地図も、雑で、頼りにならない。思いついて、タブレットの「マップ」機能を呼び出してみたら、文学ミュージアムまでの道すじが見えてきた。
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10分ほど歩いて、無事市川市文学ミュージアムに到着。さっそく「永井荷風展」を見る。監修は、川本三郎氏。展示物は、それほど多くないので、ゆっくりと説明書きや引用されている永井荷風の文章を読みながら、荷風の歩みをなぞる。
荷風は、麻布の「偏奇館」を東京大空襲で焼かれ、戦時中は、岡山や熱海などを転々としたが、戦後はこの市川市(菅野)へ移り住む。戦前・戦中、東京の陋巷(ろうこう)を好んで歩いたように、戦後は失われていく東京の面影を市川の景色のなかに発見して、江戸川などあちこちを散策した。
川本三郎氏の本を通して永井荷風の魅力を知ったが、かんじんの荷風の作品は、『つゆのあとさき』、『濹東綺譚』や、いくつかの短編・エッセイしか読んでいない。いま、手にはいりやすい荷風の電子書籍や本を集めて、少しずつ読んでいく計画をたてている。
「永井荷風展」の案内サイト
http://www.city.ichikawa.lg.jp/cul06/1111000267.html
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ミュージアムで地図をもらい、それをもとにして、本八幡駅方面へ歩く。「八幡不知森(八幡の藪知らず)」を通り、京成八幡駅から、「荷風ノ散歩道(商美会ロード)」という商店街を歩き、「白幡天神社」までいって、JR本八幡駅へ引き返す。
駅近くにあいている居酒屋をみつけたので(まだ午後5時前)、客もまばらなその店にはいり、カウンターを占めて、ハイボールと、ぶり刺し、鯵刺しを注文し、ひとり忘年会をはじめる。