かぶとむし日記

映画、音楽、本の感想を中心に日記を更新しています。

吉田恵輔監督『犬猿』を見る(3月3日)。

3月3日、土曜日。板橋のトヨペットへ車検のため、クルマをもっていく。手続きがおわって、近くの図書館で「キネマ旬報」を読む。吉田恵輔監督の『犬猿』の解説を読んでいたら、見たくなって、タブレットで、「テアトル新宿」、14時30分の回を予約する。



ヒメアノ〜ル」の吉田恵輔が4年ぶりにオリジナル脚本でメガホンをとり、見た目も性格も正反対な兄弟と姉妹を主人公に描いた人間ドラマ。


印刷会社の営業マンとして働く真面目な青年・金山和成は、乱暴でトラブルばかり起こす兄・卓司の存在を恐れていた。そんな和成に思いを寄せる幾野由利亜は、容姿は悪いが仕事ができ、家業の印刷工場をテキパキと切り盛りしている。一方、由利亜の妹・真子は美人だけど要領が悪く、印刷工場を手伝いながら芸能活動に励んでいる。


そんな相性の悪い2組の兄弟姉妹が、それまで互いに対して抱えてきた複雑な感情をついに爆発させ……。


(「映画.com」から)
http://eiga.com/movie/87563/


吉田恵輔監督の作品はあまり見ていないが、なかでは『さんかく』という映画が印象に残っている。同棲している女性の妹(中学生)が休暇を利用してふたりのアパートへ泊まりにくる。何日か滞在するが、中学生らしい無防備な肢体をさらして、男を妄想させる。その男を演じた高岡蒼甫のダメ男ぶりがよかった。


犬猿』も、『さんかく』と同じく小品だけれど、小品だから描ける繊細な感覚が隅々に生きていて、クスクス笑いながら、登場人物たちの「愚行」に共感してしまう。見ている作品だけでいえば、吉田恵輔監督が描く登場人物は、どれも情けなくて、だけど好人物で、憎めない。


犬猿』のふた組の兄弟と姉妹は、性格も見た目もちっとも似ていなくて、仲がよくない。すぐに暴力を振るう兄と真面目なサラリーマン。一方で、小さな会社を経営する姉は、有能だが見た目が芳しくなくて、密かな恋も思うようにいかない。仕事が苦手でその会社のお荷物になっている、美人の妹に片思いの恋人をとられてしまう。



対立する兄弟を演じるひとたち(兄・新井浩文、弟・窪田正孝)。



対立する姉妹を演じるひとたち(姉・江上敬子、妹・筧美和子)。


ふた組の兄弟・姉妹の複雑な感情のからみを軽妙に描いていて、とてもおもしろかった。ドロドロした感情の対立も、吉田恵輔監督が描くと、後味がさらっとして、気持ち悪くない。


映画の予告編↓
https://www.youtube.com/watch?v=JpJOgGQpe6U



映画館を出て、駅に近い立飲み『かぶら屋』で、おでんと焼き鳥をツマミに、ホッピーを飲む。