リンゴ・スターのコンサートや桜のお花見などが続き、ブログにあげそびれていた映画。恋愛映画としてたのしめたので、日付の順序は崩れますが、アップしておきます。
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3月31日、日曜日。
「角川シネマ有楽町」へ、井上雅貴監督の『ソローキンの見た桜』を見にいく。
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日露戦争時代の話。愛媛県松山市にロシア人の捕虜施設があった。
ゆい(阿部純子)は、この戦争で弟を亡くしていたため、ロシア兵を心のそこでは憎んでいた。でも、それを心の奥に秘め、負傷兵や病気にかかったロシア兵の看護に日々を送る。
ソローキンも、ゆいが看護にあたったが、一命をとりとめ、だんだん親しく話すようになる。女性にやさしく接するソローキンに、ゆいも尊敬と好感をいだく。
周囲の看護女性からも、ふたりのなんとなく親しそうな様子は好意をもって見られるようになる。
でも、ゆいの心の奥にある弟を失った悲しみ、ソローキンはその弟を殺したロシア兵のひとりであることが頭から離れない。
ゆいは、ソローキンに自分の悲しみを告白する。ソローキンは、ゆいを労わり、ますますふたりは互いに惹かれていく。
ゆいの両親、兄も、ゆいとロシア兵の親しい関係を知ると、ゆいを責めるようになる(当然だろうね)。
ロシアでは革命が起ころうとしていた。ソローキンは、革命に参加するため捕虜収容所からの脱出をはかるが、いっしょにゆいを連れて逃げようとする・・・。
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捕虜収容所のふんいきが、とてもゆるいというかあたたかい。第二次世界大戦での日本軍の捕虜の扱いの残虐さをイメージしていると、ずいぶん違う。
まだ日本にも捕虜を寛容に扱うゆとりがあったのだろうか。で、なければ捕虜と看護する女性との恋愛という感情の交流は生まれにくい。
タイトルは『ソローキンが見た桜』だけれど、じつはソローキンは、日本の桜の季節に滞在していない。
桜とは、ある美しいひとの面影の象徴だった。
主演の阿部純子の清楚な美しさが、ソローキンの想い描く「桜」のイメージに重なっていく。
素直に作品の世界に入れたのは、阿部純子という女優が魅力的だったからかもしれない。