5月7日、火曜日。新宿武蔵野館へ、フォン・シャオガン監督の『芳華(ほうか)Youth』を見にいく。
川越を出るのが遅くなったので、上映前(12時50分から)にコーヒーを飲む時間をつくれず、映画館へ直行する。
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「唐山大地震」「戦場のレクイエム」の名匠フォン・シャオガンがメガホンを取り、「シュウシュウの季節」のゲリン・ヤンが原作・脚本。
76年、夢と希望に溢れる17歳のシャオピンは、歌や踊りで兵士たちを慰労し鼓舞する歌劇団・文工団に入団する。農村出身で周囲となじめない彼女にとって唯一の支えは、模範兵のリウ・フォンだった。
しかし、時代が大きく変化する中で起きたある事件をきっかけに、2人の運命は非情な岐路を迎える。
(「映画.com」より)
https://eiga.com/movie/88659/
フォン・シャオガン監督の映画を見るのは、『唐山大地震』(2015年)以来、2本目。『唐山大地震』も『芳華 Youth』も、時代の流れのなかで、人間たちが翻弄される大河ドラマ的な作品。
1970年代、文化大革命、中越戦争(中国とベトナムの戦争)など国家の激動の時代に生きた若者たちの半生が描かれていく。
この映画には、「文化大革命」や「中越戦争」への批判的な視点ははいっていない。言論の自由が制御されている国では、そういう映画はつくれないのかもしれない。
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兵士や同志を慰労する歌劇団の若者たちの、のびのびとした肢体に前半は目を奪われる。健康いっぱいの若者たちは、エロティックな美しさがある。
この映画の前半は、青春の輝きが歌劇団の歌や踊りで描かれる。しかし、ほんの小さな言動や失敗を契機に、若者たちは配属先を変えられていく。
そこには、歌劇団の美しい輝きとはまるでちがう中越戦争の前線がある。
容赦なく爆弾が投下され、仲間たちが次々に死んでいく。
前線につくられた簡易病院には、全身を砲弾でやられた血まみれの兵士たちがどんどん送り込まれてくる。
看護団に転属したヒロインのホー・シャオピン(ミャオ・ミャオ)は、次々に運ばれてくる手や足をうしなった兵士に手当てをしながら、しだいに心を病んでいく。
ヒロイン・ホー・シャオビンがひそかに憧れていたリウ・フォン(ホアン・シュアン)は、ある恋愛事件の発覚から、中越戦争のまっただなかの戦場へ配属され、砲弾の飛び交う激しい戦いのなかで片腕を失う。
歌劇団の美しい舞踏と激しい戦争との対照が、1本の映画のなかに明暗鮮やかに描かれる。
映画が訴えるのは、青春の輝きは永遠でないこと。そして戦争はおわっても、そこで失ったものはとりかえせないこと。
エンディング近くになると、貴重をなものを失ってしまった、若者たちの喪失感が、わたしにも、強い感動で伝わってきた。
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