映画のワンシーン。
9月13日、金曜日。晴れ。
「日比谷シャンテ」へ、マシュー・ハイネマン監督の『プライベート・ウォー』を見にいく。
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イギリスのサンデー・タイムズ紙の戦争特派員として活躍するアメリカ人ジャーナリスト、メリー・コルビンは、2001年のスリランカ内戦取材中に銃撃戦に巻き込まれて、左目を失明してしまう。黒い眼帯を着用し、PTSD(心的外傷後ストレス障害)に苦しみながらも、人びとの関心を世界の紛争地域に向けたいという彼女の思いは強まっていく。
2012年、シリアの過酷な状況下にいる市民の現状を全世界に伝えるため、砲弾の音が鳴り響く中での過酷なライブ中継がスタートする。
(「映画.com」から)
https://eiga.com/movie/90508/
砲弾が飛び交うなかで、メリー・コルヴィンは取材を続け、住民の残酷な死と苦境の実情を伝える。
政府発表だけでは死傷者の数字しかわからない。住民のなかで何が起こっているかを知ることができない。
その戦場の真実を、わたしたちに伝えてくれるのが戦場のジャーナリストであり、報道カメラマン。メリー・コルヴィンも、報道カメラマンとタッグを組んで戦場のなかを駆けめぐる。
戦場の惨状を見続けるメリー・コルヴィンは、PTSD(心的外傷後ストレス障害)に苦しんでいる。ひっきりなしにタバコを吸い、部屋にもどるとお酒を飲まずにいられない。
これでは精神が壊れてしまうのでないか、と誰もがおもうし、実際周囲のひとは心配し、警告する。
しかし、彼女は戦場のなかで取材を続ける。
戦場のシーンは、見ていて苦しかった。安全な観客席から見ていても目をそむけたくなるのだから、実際の戦場に立ったらどれほど恐ろしいか想像を超える。
マシュー・ハイネマンは、これが劇映画の初監督作品だという。戦場のシーンは、ドキュメンタリー映画を見ているようにリアルだ。
主演のメリー・コルヴィンを演じたロザムンド・パイクは、以前『ゴーン・ガール』というミステリー映画で見たことがあるけれど、それほど強い印象はなかった。
しかし、今回この女優がすばらしい。
命知らずの取材を続けながら、じつは夢に怯え、戦場の残酷な残像に苦しむメリー・コルヴィンの姿を繊細に演じている。
左はロザムンド・パイク演じるメリー・コルヴィン。右は取材中砲弾に倒れて亡くなったメリー・コルヴィン本人。
この映画を見ても、戦場で取材を続けるジャーナリストや報道カメラマンの苦境を、「自己責任」などといえるだろうか、とおもう。
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帰り、上野の立飲み「たきおか」でホッピーと酎ハイを飲んでアパートへ帰る。