かぶとむし日記

映画、音楽、本の感想を中心に日記を更新しています。

映画『ライフ・イットセルフ』と最近のボブ・ディランのこと。

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12月7日、土曜日。


つるひめさんのブログで紹介されていた映画『ライフ・イットセルフ 未来に続く物語』を見にいく。ひめのブログ記事で目をひいたのは、ボブ・ディランアルバム『タイム・アウト・オブ・マインド』(1997年)から数曲がつかわれている、ということで映画の内容以上に興味をそそられ、さっそく見にいく。


映画は、仕立て、構成がちょっとかわっていて、リアルと想像がまじったまま映像で出てくるので、最初「あれ?」という感じがあったけれど、違和感はすぐに解消されて、映画の世界へ没入できた。


そして、スクリーンのなかから聴こえてくるボブ・ディランは、自分の家やクルマで聴くのとはひと味ちがう味わいがあった。


このアルバム『タイム・アウト・オブ・マインド』は、どことなく低迷していたボブ・ディランが急に息を吹き返したと感じられた作品で(個人的な感想です)、このあとに発表された現在までのボブ・ディランのアルバムにつながっていくものとして、わたしは気にいっています。


映画についての感想は、つるひめさんのブログが詳しいので、わたしは省かせていただきます。



つるひめさんのブログ
https://tsuruhime-beat.hatenablog.com/entry/2019/12/05/224208




最近発表されたボブ・ディランアーカイブ・シリーズ15『トラベリン・スルー』について。


今回のアーカイブ・シリーズの音源は、1967年から1969年までの未発表曲やアウト・テイクを集めたもの。


わたしがボブ・ディランを聴きはじめた1966年からまもないころで、熱心に聴いていた十代のころが思い出されて懐かしい。


ギター・コードを無造作にかき鳴らし、しわがれ声で歌うアラっぽいサウンドは、ビートルズとはちがう魅力をもっていた。


ボブ・ディランは、生ギター1本で歌うフォークの時代からエレキ・バンドを従えて歌うロックの時代を経て、1967年の『ジョン・ウェズリー・ハーディング』では、カントリー・ミュージックに舵をきる。


そして1969年のナッシュビルスカイラインは、カントリー・ミュージックの延長ではあるものの、声がすっかり変わっていた。


ディランの声が、美声なのだ(笑)。


アーカイブ・シリーズ15」は、この2枚のアルバムのアウト・テイクと未発表音源が、CD3枚分くらい収録されているので、当時ディランに夢中になっていたものには、とてもうれしい企画だ。


3枚組のCD1枚分くらいは(わたしはデジタル音源で聴いているのでCDのどこまでが1枚目で、どこまでが2枚目なのかよくわからない)、カントリー・シンガーの大御所、ジョニー・キャッシュとのデュエット音源が収録されている。


ディランとジョニー・キャッシュの共演は、アルバムナッシュビルスカイラインで、「北国の少女」(ディラン作)が1曲だけ公式発表になっていただけなので、こんなに共演した音源が残っていたのか、とちょっとびっくり。あまり完成されているとはいえないものの、やっぱりその時代の音源として興味をひく。


アーカイブ・シリーズは、時代の順序を関係なくまちまちに発表される。


残されている貴重な音源にびっくりすることが多いけれど、ジョニー・キャッシュとの共演の音源がこんなにごっそり出てくるのなら、いつかジョージ・ハリスンとの共演音源もごっそり出てこないものか、とあらぬ期待までしてしまう。


ジョージ・ハリスンとの共演音源、あるのかな?
ジョージとボブが組んだバンド、トラベリング ・ウィルベリーズの未発表音源でもいいぞ!



ボブ・ディランが2020年4月に来日する。


わたしはフジロックにはいっていないので、2016年の、渋谷オーチャード・ホール以来のディラン・コンサートということになる。


あちこちに不満をいっているので、もうやめるけれど、今回はお台場の会場で、オール・スタンディング。荷物の置き場もなく、ただ立ちっぱなしで見なければならない。妻からはやめたほうがいい、といわれたが、あとになって行かないのを後悔しそうなので、結局チケットをとった。


前回は、スタンダート・ナンバーのアルバムを発表したばかりで、セットリストも、むかしならとても想像できない曲(例えば「枯れ葉」など)が並んだけれど、今回はどういうコンセプトでくるのかたのしみ。


ボブ・ディラン、1941年5月24日生まれの78歳。


1940年生まれのジョン・レノンリンゴ・スターより1歳若く、1942年生まれのポール・マッカートニーより1歳上。


とても元気で、ステージも見るたびに、歌い方もセットリストも変更してくるので、あけてびっくり玉手箱なのがボブ・ディランのライブ。





Bob Dylan - Blowing In The Wind (12.07.2019, London)
2019年版「風に吹かれて」。オリジナルのメロディは壊滅状態です(笑)。




立ち見に文句をいいながらも、日が近づくとたのしみと期待でいっぱいになってくるだろうな、とおもいながら、きのうは、映画『ライフ・イットセルフ 未来に続く物語』につかわれた、アルバム『タイム・アウト・オブ・マインド』をひさしぶりに聴いた。