「森のさんぽ道」へ分けいっていく。
4月25日、土曜日。晴れ。
午前、娘&双子と、クルマで15分ほどのところにある「森のさんぽ道」の駐車場で待ち合わせる。
ここの森は、細い道と道案内の看板があるくらいで、遊具もなにもない。歩くひとも少ないので、いまのような状況には最適な場所。
以前、妻と散歩にきたとき、数えるほどしかひとと会わなかったので、今回娘たちも誘ってみた。
駐車場にあるベンチで、お昼のおにぎりを食べてから、森のなかを1時間20分ほど歩く。
娘も双子も元気だから歩くのが早い。妻とわたしは、遅れないようにあとを追うかたちになる。双子は、ときどき祖母(わたしの妻)になにかを伝えるために、走ってもどってきたりする。
駐車場へもどると、妻とわたしは、ベンチで休んだ。娘と双子たちは、駐車場にクルマがないのをいいことに、「だるまさんがころんだ」という遊びをやっている。
妻が、タブレットのYouTubeを参考にして、「ラジオ体操」をはじめたので、わたしも参加。あとから娘もはいってきた。
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午後、帰宅して、1時間ほど昼寝。
起きて、ソファで横になったまま、高部務著『新宿物語』を読む。
1960年代〜1970年代前半、新宿にたむろしていたフーテンたちを描いた物語。舞台として多く登場するのは、新宿歌舞伎町。
彼らは、通行人の似顔絵を描いたり、ガリ刷りの自分の詩集を売ったり、キャバレーやバーの看板持ちなどして、食いつなぎ、お金ができると歌舞伎町に集まって飲む。
わたしはフーテンをやったことはないし、夜の歌舞伎町で遊んだこともない。いまだに夜の歌舞伎町は怖い。
でも、小説に出てくる彼らと、世代はぴったり重なる。そして、物語に登場する、競争社会からドロップ・アウトして生きる若者たちには、共感することが多い。わたし自身、フーテンの「二軍選手」みたいなものだった。
小説に出てくる「山手ホテル」という言葉の意味は知っていた。
新宿で、朝電車が動くまで飲む。アパートへすぐには帰らず、何人かで山手線のなかで寝る(ひとりの場合もある)。
山手線は、グルグル回っているので、乗り越す心配がない。何周かしているうちに、どこかの駅で目が醒める。
もともとはフーテンたちから流れてきた言葉なんだろう、わたしたちも、それを「山手ホテル」と呼んでいた。
朝、5時くらいに居酒屋を出ると、朝の光が眩しい。睡眠不足と酒で、眠い。
解散するまえに、
「これから山手ホテルにいくけど、付きあってくれるひといる?」
なんて、誰かが誰かを誘う。
アパートへ帰って急にひとりになるのがさびしかったのかもしれない。
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夜、ホッピーを飲みながら、アニメーション映画『イエロー・サブマリン』を見る。本棚をあちこち探したら、むかし買ったDVDが出てきたのだ。物語は何度も見ているので、もう新しい発見はないだろう、とおもっていたら、あった。
映画のなかに、ジェレミーという研究者が登場する。彼は、いつもひとりぼっちで研究に没頭している。どこにも居場所をもたない孤独な男を歌った「Nowhere Man」が流れるシーンだ。
このジェレミーという名前、わたしのブログの知り合いにいるではないか!
ブログのコメント欄を使って、ジェレミーという名前は、映画『イエロー・サブマリン』からとったのではありませんか、と書いたら、ジェレミーさんから、「当たり!」という返事がかえってきた(笑)。
ビートルズとレッド・ツェッペリンについて、むかしからなんどとなく話をまじえてきたジェレミーさんだ。こういう小さな発見も、なんだかうれしい。