かぶとむし日記

映画、音楽、本の感想を中心に日記を更新しています。

映画『Daughters(ドーターズ)』を見に渋谷へ(9月26日)。

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映画『Daughters(ドーターズ)』。小春と彩乃は、中目黒に住んでいる。満開の桜を見ながら、目黒川沿いを歩くふたり。



9月26日(土)、雨。


ヒューマントラストシネマ渋谷」へ、津田肇監督、三吉彩花阿部純子主演の『Daughters(ドーターズ)』を見にいく。


前回、渋谷の映画館へいったのは、コロナ騒動が起こる以前だからずいぶんひさしぶり。まだ時間が40分くらいあったので、映画館の近く、明治通り沿いの2階にある喫茶「ルノアール」へ寄る。


モーニング・タイムは終わっていたので、コーヒーとトーストを注文。佐高信と望月衣塑子の対談『なぜ日本のジャーナリズムは崩壊したのか』Kindleで読む。


前川喜平氏の話題で、こんなことを話している。

佐高:歌舞伎町の出会い系バー通いというスキャンダルを官邸筋が読売に流したと見られているわけでしょう。
 あなたも『新聞記者』で書いていたし、私もそう思ったんだけど、前川さんが出会い系バーに調査のために行ったという言い訳は、「それはないだろう」と。たしかに「それはないだろう」という話なんだけど、でも前川さんが姿を現して語り始めた途端に、「たしかにそうなんだろうな」と思えたよね。
 つまり前川という人の存在感が、つまらないスキャンダルを消したし、吹っ飛ばしたし、権力とメディアの醜い密通をあぶり出した。そこがすごいなと思う。


望月;「そういう調査のために出会い系に行くというのも、この人ならありそうだな」と。前川さんが醸し出している清潔感がそう思わせるようになったということですね。


(略)


 だいたいの男性は疑われますよ。そこをクリアできるってすごいですよね。寺脇さんが前川さんの横で「でもこいつ、男が同じことしていたら行かないよ」とか言って、からかっていたんですけど、前川さんは、歌舞伎町で出会い系バーに行って日銭で稼ぐ女の子がいる状況を何とかしてあげたいと心から思った。前川さんの場合、そこに、「あわよくば」はないわけですよね。徹底的に。


前川喜平さんのスキャンダル記事(意図的な誤報)を「読売新聞」が、一面に出したとき、「えっ?」とおもったけれど、あとから前川さんの会見をきいて、わたしはこのひとはウソをいってないと直感できた。


前川喜平さんの会見を見て、望月さんや佐高さんと同じように「清潔」を感じたひとはたくさんいたのではないか、とおもう。


醜悪なのは、官邸の意向を受けて一面にスキャンダル報道を流した読売新聞だろう。どこまで政権の片棒を担いでいくのか。



午後1時15分から上映スタート。





映画『Daughters ドーターズ』予告 【9月18日(金)公開 】



中目黒の桜が並ぶ川沿いのマンションの1室で暮らす小春と彩乃。ライフスタイルの似ている27歳の2人は、仕事に遊びに充実したルームシェア生活を送っていた。しかし、彩乃からの突然の妊娠の告白から、2人の生活に変化が訪れる。そして彩乃は父親のわからない子どもを産む決意をする。



(「映画.com」から)
https://eiga.com/movie/91310/


仲間と飲んで、踊りにいって、カラオケで歌う。ひとりが立てないほど酔っ払うと、もうひとりがかつぐようにしてマンションへ連れて帰る。


仲のいい27歳の女性ふたりの華やぎが眩しいくらいに描かれる。


三吉彩花は、動画配信で見た、山本透監督『グッモーエビアン!(2012年)にしびれた。大泉洋麻生久美子の常識を飛び超えたロック生活のなかで、ふたりに振り回されず、ひとり常識を大切にして生きようとする中学生を演じて可愛かった。


この作品に次いで見た吉田康弘監督『旅立ちの島唄 十五の春』(2013年)の三吉彩花は、南大東島の中学生活をたのしみながら、島に高校がないので、やがて島を出ていかなければならない少女の期待とさびしさを演じていた。


阿部純子は、井上雅貴監督『ソローキンの見た桜』(2019年)ではじめて見た。日露戦争下で、負傷したロシア兵捕虜を看護しながら、その敵兵に惹かれてしまう清楚な美しいナースを演じていた。


それから、さかのぼって、阿部純子(そのときは吉永淳という名前)が、奄美大島に住む16歳の少女を演じた河瀬直美監督の『2つ目の窓』(2014年)もよかった。阿部純子の、日焼けした若い肢体が、のびやかに海の中を泳ぐシーンが、健康的で美しかった。


その三吉彩花阿部純子がルーム・メイトでW主演をやるというので、なんとか見たいとおもって雨のなか、渋谷まで足を運んだ(笑)。


期待は裏切られなかった。等身大の27歳の女性が生き生きと描かれている(ような気がした。わたしは実際にはその年齢の女性を身近に知らないので)。


中学生を演じていた三吉彩花が美しい27歳(役柄の年齢だけど)になっていたのも、新鮮だった。考えてみると、これまで中学生役しか見ていなかったのだ(笑)。


あたりまえだけど、三吉彩花は、美しいおとなの女優に成長していた。等身大の年齢の女性をごく自然に演じていた。彼女を見ているだけで、この映画はたのしかった


ふとしたことから望まない妊娠をしてしまう阿部純子。ふたりの関係がいままでのままではいかなくなる。衝突もする。そのひとつひとつのシーンがていねいに描かれている。


長年の友情に、ヒビがはいってしまうのか、それをふたりは乗りこえていくのか。


おおげさな事件もなく、日常を描きながら、ふたりの繊細な心の変化を映していく。


女性には友情は育たない、というひともいるけれど、この作品は、わざとらしくなく、女性同士の深いこころの結びつきを描いている。



いつもなら、映画のあと渋谷の居酒屋で一杯やる、というのがこれまでだけれど、まだそういう気になれない。電車でそのまま川越へ向かう。