浪花千栄子の自伝『水のように』がおもしろかった、と妻にすすめたら、いま朝ドラでやっているモデルは、浪花千栄子だよ、といわれた。
それから、録画してもらい、ひさしぶりに朝の連ドラを見ている。主演の杉咲花も、前々から好きな女優だし。
自伝と朝ドラの内容は、必ずしも同じではないけれど、事実にとらわれず、自伝をベースに、自由にドラマに仕立てあげている。
杉咲花も、若き日の浪花千栄子はきっとああだったのかもしれない、とおもわせるような雰囲気を出している。
★
小津安二郎は、役者のセリフのひとつひとつの抑揚まで細かく指示する監督なので、このように人物が長いセリフをしゃべりまくるシーンはめずらしい。ある程度の自由をまかせたのは、杉村春子とこの浪花千栄子くらいかもしれない。
よく喋るお母ちゃん その2
昭和を代表する女優・田中絹代と浪花千栄子の共演シーン。尻の長い来客に早く帰ってもらうため、箒を逆さまに立てかけておく「おまじない」を、本人が気にもかけず、立て直すのがたのしい。『晩春』で、杉村春子にも同じシーンがある。(映画『彼岸花』)。