4連休のさなか、DVDで見た映画の1本は、、、
サリー・ポッター監督の『ジンジャーの朝〜さよなら、わたしが愛した世界」(2012年製作)。
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冷戦時代に突入した1960年代の英ロンドンを舞台に、社会の変革を通じて成長していく思春期の少女の姿を描いた人間ドラマ。
同じ病院の隣り合うベッドで生まれたジンジャーとローザは、幼なじみの親友として多くの時間を共有して育った。10代になった2人は、学校の授業をさぼっては宗教や政治、ファッションについて熱く語り合い、世間で核の脅威に対する反対運動が盛んになれば、2人の関心も反核運動へと向いていく。
しかし、ローザがジンジャーの父親で思想家のローランドに恋心を抱いたことをきっかけに、2人の友情に溝が広がっていく。
(「映画.com」より)
https://eiga.com/movie/78791/
1960年代といえば、わたしには核の脅威とビートルズと既成の価値観への反抗意識だった。
過去の常識が色褪せてみえ、学校から押し着せられる規律がうっとおしかった。
新世代の表現(映画、音楽、絵画)が、理解できてもできなくても、キラキラ光って見えた(けど、なぜか文学の好みだけは、明治・大正にさかのぼっていた、笑)。
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『ジンジャーの朝』の時代は、わたしの見ていた60年代よりも前だ。
そのころ(60年代初頭)を、わたしも記憶している。
「アメリカの核実験による放射能が何日の何時に日本へ到達します」
とか、
「明日の雨は、放射能を含んでいるので、雨に濡れないように注意してください』
とか、そんなラジオのニュースに怯えていた。
世界が、アメリカとソ連の、いつ勃発するかわからない核戦争の脅威にさらされていた。
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ジンジャーとローザは、同じ日に同じ病院で生まれた。ふたりは双子のように仲よく育ち、成長すると核の恐怖を知り、核戦争に反対するデモに参加する。
一方で、ふたりで見たり触れたりするすべてのものがたのしくて笑いころげる。
そんな子供と大人のはざまにいた。
しかし、ローザに好きなひとができてから、ふたりの関係が変わる。
ローザが愛したのはジンジャーの父だった。
ジンジャーを演じる14歳・エル・ファニングが可愛い。表情が刻々と変わる。彼女を見ているだけで、飽きない作品だった。
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ツルゲーネフの『はつ恋』は、1860年に発表された小説。いまから161年前だ。
初恋の想い出はたいてい苦いが(笑)、この小説は、苦いより痛いかもしれない。ツルゲーネフの半自伝的小説だという。
隣家の美少女・ジナイーダに、主人公・ヴラジーミルは夢中になる。
彼女のことが頭から離れられない。毎日、ジナイーダの家へ遊びにいく。
近所の青年たちはみな、ジナイーダに恋をしていた(「かぐや姫」状態)。
彼女は二十歳。
無意識か意図してか、あいまいな態度で、恋する青年たちの気を惹き、翻弄する。
しかし、あるときからジナイーダに変化が起こる。
もの思いにふけったり、話しかけても聞いていなかったりする。
ジナイーダは、仲間のだれかに恋をしているのではないか?(とヴラジーミルは、疑う)
ヴラジーミルは、夜になると、彼女の家のそばで見張るようになる(ストーカーだ!)。
そして、何日目かに現れたジナイーダの「恋人」にショックを受ける。
ジナイーダの「恋人」は、ヴラジーミルの父だった。
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もうひとつ。60年代の青年の初体験を描いた青春映画『卒業』。
主人公のベンジャミン(ダスティ・ホフマン)は、夫のいるロビンソン夫人(アン・バンクロフト)に誘惑され、はじめて女性を知る。
ベンジャミンは、彼女との情事を重ねていく。心で彼女を厭いながら、関係から脱けでることができない。
ロビンソン夫人の娘、エレン(キャサリン・ロス)が夏休みで帰ってくる。
美しい清純なエレイン(キャサリン・ロス)を見た瞬間、ベンジャミンは、恋に落ちる。
サイモンとガーファンクルのすばらしい音楽と、結婚式が行われているさなか、ダスティー・ホフマンが花嫁・エレイン(キャサリン・ロス)を略奪するラスト・シーンが有名。
www.youtube.com
花嫁の略奪シーンも、サイモン&ガーファンクルの名曲「サウンド・オブ・サイレンス」が流れていると、美しくみえる(笑)。
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親と子をめぐるややこしい恋愛。
実際には、自分にも身近なひとにもそういう体験は起こらなかった(ひとからもきかなかった)けれど、映画や小説は自由にあらぬ想像をふくらませてくれる。
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なにがいいたいのかわからなくなった(笑)。
つまりは、この4連休は、暑いので外へ出る気にならず、そういう妄想のような世界のなかで過ごしていた、という反省の報告でございました。