ヤン・ヨンヒ監督。この写真は、川越スカラ座のイベントの写真ではありません。ネットから拝借しました。
7月24日(日)。
「川越スカラ座」へ、ヤン・ヨンヒ監督の『スープとイデオロギー』を見にいく。
一度見ていたが、妻が見ていないのと、この日ヤン・ヨンヒ監督のトーク・イベントがあるというので、あらかじめ予約してあった。
予約といっても全50席のひとつを抑えるだけで座席の確保はできない。
「川越スカラ座」では、まだオンラインで席をとるシステムがない。当日になって整理券をもらって並ぶことになるからちょっとめんどくさい。
(通常の上映は、当日券しかない)
★
『スープとイデオロギー』を以前見たのは、6月15日。
それからヤン・ヨンヒ監督の作品をDVDで2本見た。
ドキュメンタリー映画『ディア・ピョンヤン』(2005年)と、もうひとつが劇映画『かぞくのくに』(2012年)。
もう1作『愛しきソナ』(2011年)は、現在、動画配信にもDVDにも見つけられなかった。
『ディア・ピョンヤン』は、ヤン・ヨンヒ監督のアボジ(お父さん)が主人公で、父・母・ヨンヒ、当時「地上の楽園」といわれた北朝鮮に渡った3人の兄の関係が描かれている。
『かぞくのくに』は、現在までのところ、ヤン・ヨンヒ監督の唯一のフィクション映画。
北朝鮮に渡った兄が25年ぶり、病気療養のため日本へやってくる。
何ヶ月か滞在できる予定だったが、3日後に帰国命令が下り、治療も受けないまま帰ることになる。家族はそんな急な、とめんくらうが、兄は「あの国ではよくあることなんだよ」といって北朝鮮へ帰っていく。
感情を昂らせず、淡々と成り行きを描いた静かな映画だった。これはわたしは劇場公開されたとき見ていた。
★
妻もこの2作を見て、興味を示した。それでせっかくヤン・ヨンヒ監督本人も来ることだし、映画とトーク・イベントに参加しようということになった。
午後3時から映画『スープとイデオロギー』が先に上映される。
ヤン・ヨンヒ監督のオモニ(お母さん)を中心に描き、新しくパートナーとなった歳下の夫(荒井香織=あらい・かおる)氏も重要な家族のひとりして登場する。
オモニは老いとともに、アルツハイマーの症状がまじってくる。
1948年、オモニが18歳のとき、韓国で大規模な殺戮がおこなわれた。「済州4・3事件」。オモニは、それまで語らなかったそのときの壮絶な体験を、ヨンヒにポツポツ語りはじめる。
映画が終わり、すぐにヤン・ヨンヒ監督と荒井香織氏(プロデューサー、名前は女性みたいだけど、ヤン・ヨンヒ監督の夫)のトークが1時間。
映画を捕捉するような内容でおもしろく聞いた。
(ヤン・ヨンヒ監督は理路整然とお話をするひとで、90%は彼女がしゃべり、荒井香織氏はマイクをもったまま彼女の脇で聞き役をやっていた。ふたりが対照的で、私生活の関係もこのとおりなのかと勝手に想像して、おもしろかった)
帰りロビーでサイン会があったので、映画がはじまる前に買ったパンフレットにヤン・ヨンヒ監督と荒井香織プロデューサーのサインをもらう。