かぶとむし日記

映画、音楽、本の感想を中心に日記を更新しています。

2022年の積み残し音楽映画2本(『ジョン・レノン』〜『ホイットニー・ヒューストン』)


ジョン・レノン 音楽で世界を変えた男』。左からジョージ、ジョン、ポール。





ホイットニー・ヒューストン   I WANNA DANCE WITH SOMEBODY』。




12月9日㈭。
「池袋シネマロサ」へ、ドキュメンタリー映画ジョン・レノン 音楽で世界を変えた男の真実』を見にいく。


公開2日目。平日でも混んでいた。




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ビートルズを結成する以前のジョン・レノンの少年時代を、クオリーメン(ジョンがビートルズ以前にやっていたバンド)時代のメンバー、学校の幼馴染、デートに誘われた女の子(笑)などが回想する。


ジョン・レノンビートルズの伝記本などではこうしたジョンの回想談はたくさん出てくるので、めずらしい話はほとんどなかった。


映像のなかで、彼らが顔出しして発言した、というのがこの映画の特質か。


そういう意味では、いま撮らないと証言できるひとが年々減っていく。彼らは、もう80歳を超えている。


学校の教師はほとんど、ジョンが授業にやってくるのが迷惑で、休んでも途中からいなくなっても特別におとがめなし。その意味では、彼はどこでも自由に行動していた。


アイヴァン・ボーンポール・マッカートニージョン・レノンに紹介した人物)の両親は、息子がジョンと親しく付き合うのをいやがって、上級学校へ進むときは、息子をジョンとは別な学校へ行かせたい、と考えていたという。親としては、札付きの悪ガキから息子を引き剥がしたい、とおもっていたのだろう。


どこへいってもジョン・レノンはオジャマ虫だったんだな、ってあらためて確認。


ジョンの父も母も、ジョン・レノン少年を捨てて家を出た(「マザー」で、ジョンはそのときの気持ちを歌にしている)。


ジョンは、母の姉(ミミおばさん)に育てられる。


その後、母(ジュリア)がもどってくる。


ジュリアは陽気な女性だったが、厳格なミミおばさんは、妹(ジョンの母ジュリア)を信用していないので、ジョンを引き渡さなかった。


それでも、ジュリアとジョンの親しい交流は復活する。


ジョンはジュリアといっしょに音楽を聴き、彼女からバンジョーの弾き方を習ったという。


しかし、ジョンと母との「密月期間」は、長くは続かなかった。母は、非番の警官のクルマに轢かれて、亡くなってしまう。ジョンの喪失感は・・・想像するに余りある。


よく知られた悲劇だけれど、当時のジョンを知る彼らから語られると、さらに事実の重みを感じてしまう。


仲間とのお楽しみバンドだったクオリーメンに、ポール・マッカートニーが入り、そのポールが、ギターのうまい少年・ジョージ・ハリスンを引き連れてくると、バンドは一変して本気モードになり、それまでのメンバーは自然にやめていく。


クオリーメンは、ジョン、ポール、ジョージの三人組になって、ビートルズの母体ができあがる。


そういったビートルズの初期の歴史を確認できるドキュメンタリー映画だった。




ジョンが「マザー」(和訳つき)を歌うライブ映像(1972年「ワン・ツウ・ワン・コンサート」より)。残念ながら、ジョンの声の調子がよくないので、むしろ和訳に注目してください。
https://www.youtube.com/watch?v=1MIXon2f91c







12月24日㈯。
昼頃、川越駅で妻と待ち合わせ、「ウニクス南古谷」へ向かう。


ホイットニー・ヒューストンの伝記映画ホイットニー・ヒューストン I WANNA DANCE WITH SOMEBODY』(ケイシー・レモンズ監督)を見るため。


少し前、サッちゃん(義理の妹)からLINEがはいって、「カズヒロさんが(わたしの弟)、兄貴はホイットニーは聴かないんじゃないか、といってましたが」と書いてあったので、「それは弟のなかのオレのデータが古いんだよ」と返信した。


なんのなんの、わたしはデビュー当時(1985年)からホイットニーのファンでしたよ。今はそれほど聴かなくなったけど。


ホイットニーのプライベートのことは何も知らない。それで今度の映画は、彼女がたどった人生を知るのにいいチャンスかもしれない、ともおもった。


しかし、映画のいちばんの目的は、やっぱり彼女の歌。あの声を劇場のいい音でシャワーみたいに浴びたい。


で、サッちゃんに、「もちろん、見にいきます」と書いた。




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映画は、ホイットニー・ヒューストンのプライベートな部分を簡潔にたどり、彼女の歌を前面に出していた。


「歌=60%、プライベート=40%」くらいの比率。


それと、大きな成功を得たアーティストの人生を、欲望に血迷った家族(ホイットニーの場合は、父)が狂わしていくのは、ひとつのパターンみたいだ。


先日見たエルビス・プレスリーの伝記映画もそうだったし、以前見たエイミー・ワインハウス(イギリスの女性ソウル・シンガー。2011年に27歳で死亡)の場合もそうだった。


伝記映画は、本人そっくりに役者が歌うのが多いけれど(よく似ているので、いつもビックリしてしまう)、今回はホイットニー本人の歌をつかっているみたいだ。あの圧倒的な声量の厚みと音域の広さは、なかなか本人以外で再現できないのでは、とおもう。


映画館の大きな音で、ホイットニー・ヒューストンの歌を聴きたい、という願いはかなえられた。


しかし、最後にいっておきたい。役者よりもホイットニー本人のほうが、ずっと美人だったな(笑)。


映画の帰り、サッちゃんに「ホイットニーの歌を堪能できるよ。見たほうがいい」と、LINEを送る。