かぶとむし日記

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K信介からA晋三へ受け継がれた「呪い」の映画『妖怪の孫』 〜 「アメリカが間違った戦争をしようとした場合、日本は参戦を拒否できる?」(山本太郎代表→岸田首相)。




3月25日㈯。雨。
新宿ピカデリー」へ、内山雄人(うちやま・ゆうと)監督『妖怪の孫』を見にいく。

「新聞記者」などを手がけた映画製作会社スターサンズと「パンケーキを毒見する」の内山雄人監督がタッグを組み、“日本の真の影”に切り込んだ政治ドキュメンタリー。


連続在任日数2822日を誇り歴代最長在任総理大臣となった故・安倍晋三タカ派的な外交政策と「アベノミクス」に代表される経済政策で支持を集めた反面、物議を醸す言動やスキャンダルでも世間から注目された。そんな安倍元総理の母方の祖父である政治家・岸信介は、社会の表と裏を渡り歩いて政財界を操る実力者としての姿から「昭和の妖怪」と呼ばれた。




(「映画.com」より)



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  • 『新聞記者』(藤井道人監督。シム・ウンギョン主演。2019年)
  • 『i(アイ)ー新聞記者ドキュメント』(森達也監督。望月衣塑子主演。2019年)
  • 『パンケーキを毒見する』(内山雄人監督。菅義偉主演?。2021年)


これらの、社会的テーマというか、「政治の闇」に切り込む映画を企画・立案したのが、映画製作会社「スターサンズ」の河村光庸(かわむら・みつのぶ)氏。


河村氏は、小劇場では、上映の妨害や中止に追い込まれる心配があるので、最初の『新聞記者』から、「新宿ピカデリー」のような大きな劇場で公開するようにした、という。映画は大ヒットした。


『新聞記者』は、あまり生々しい政治状況を描くより、ある程度一般性をもたせたほうがよい、と判断して、フィクション化。しかも、結末は現状とは重ならない、ボカした終わり方にした。


その後の2作は、ドキュメンタリー。


『i(アイ)ー新聞記者』は、東京新聞・望月衣塑子記者の取材を追ったドキュメンタリー。


『パンケーキを毒見する』は、当時の菅政権を素材にしている。

上級国民が、家のなかで、ぬくぬく暖房にあたりながら会食している。


外では雪が降り、家畜の羊が、寒さと空腹で、一匹一匹と倒れていくーーしかし、倒れた羊をあたたかい部屋にいれたり、食べ物を与えることはない。


そんな寓話的なアニメを混じえながら、国民の困窮を描いた。



ところが、映画が公開されてまもなく、菅義偉は、退陣に追い込まれ、ややタイミングを失した形になった。


さらには、河村光庸氏が、2022年6月11日に心不全で亡くなってしまう(72歳)。



河村光庸氏の残した企画を『パンケーキを毒見する』の監督・制作陣が、再び製作したのが、今回の『妖怪の孫』


「昭和の妖怪」岸信介の孫とは、もちろん安倍晋三


東京裁判」では、「A級戦犯被疑者」となった「昭和の妖怪」・岸信介は、なぜか、その後不起訴になる。


ほかの「A級戦犯」が絞首刑となるなか、岸信介は、戦後を生き延び、おどろいたことに、総理大臣にまで昇りつめる。アメリカとのあいだに、何か密約でもあったのだろうか。



岸信介アメリカ従属は、孫の安倍晋三氏に受け継がれる。


安倍晋三氏は、祖父の岸信介を尊敬していた。ふしぎなことに、アジア・太平洋戦争を批判し、非戦・平和主義を貫いた父方の祖父・安倍寛には触れることが少ない。


まともなら、人間として尊敬する対象が逆さまだろうに。


2022年7月8日。安倍氏が亡くなってからも「妖怪の呪い」は、その後の菅政権、岸田政権にも引き継がれ、いまなお国民を苦しめ続けている。



この呪いの行き着く先は「戦争への道」だ、と映画『妖怪の孫』はわたしたちに訴える。


わたしたちが、「仕方がない、仕方がない、仕方がない」と見て見ぬふりをしているうちに、「呪い」の軍靴が近づいてくる。


内山雄人監督は、最後に自分の子供の写真を映す。


戦争を、この子たちの時代に受け渡していいのか、と、自分自身を含め、わたしたちに問いかける。


客席は満員だった。映画が終わると、場内から拍手が起こった。わたしも拍手した。少なくも、この映画館にいるひとたちは、岸田政権をよしとしていない。





一貫して軍事費拡大の予算に抵抗する政党がある・・・。2分17秒。www.youtube.com