かぶとむし日記

映画、音楽、本の感想を中心に日記を更新しています。

阿川佐和子の志賀直哉・阿川弘之の話〜三宅香帆著『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』の話。

12月26日㈭。晴れ。
八王子から各駅の「川越線」に乗って約1時間10分。tukaさん、来る。


川越駅11時に合流。

 

Sさんの運転で、川越市のはずれにある「野草庵」へいき、お昼。わたしだけビールを飲む。


食事後、わたしの家へ。


tukaさんは、本と囲碁が好き。わたしは本と映画が好き。本で趣味が重なる。自然と本の話になる。


中野翠著『本日、東京ラプソディ』と、文庫本で阿川佐和子著『あんな作家、こんな作家、どんな作家』を、わたしに持ってきてくれた。


「おれより、◯◯(わたしの呼び名)向きだから」というのが理由。


阿川佐和子の話が出たので、山田裕(志賀直哉の孫)、阿川佐和子、稲村隆の「稲村雑談」の映像をYouTubeで見る。


志賀直哉没後50年』(2021年)におこなわれたもの。

 

左から、阿川佐和子、山田裕、稲村隆⋯⋯「稲村雑談」。


阿川佐和子の出演は、父・阿川弘之氏が志賀直哉の熱烈なファンだったことから。


父・弘之氏が、志賀直哉の晩年、渋谷の志賀邸に頻繁に出入りしていたこともあって、佐和子さんは志賀の孫である山田裕氏とは子供のころから面識がある。


この「鼎談(ていだん)」のあいだも、ごく自然に「ゆうちゃん、ゆうちゃん」と呼んでいる。


稲村隆氏の進行役そっちのけで、阿川佐和子さんが話す。稲村氏は、聞き役に回って、うれしそうだ。


父は、尊敬するあまり、ときどき志賀先生の口調が移っていることがある。佐和子さんが、その口調をマネすると、「気持ち悪いからやめろ!」と怒鳴られた話。


佐和子さんが文章を書きはじめたころ、一度だけ「原稿を見せろ」というので見せたら、細かいことはいわず「志賀先生が読むとおもって書け」といわれた話。


「瞬間湯沸器」と仲間(吉行淳之介遠藤周作など)から「あだ名」された「おこりんぼ・阿川弘之氏」の「いかにも頑固そうな風貌」が想像されておもしろい。

 

わたしは見るのが3回目くらいなのに、tukaさんといっしょに笑った。



最近(といっても数ヶ月前)読んだ、三宅香帆さんの『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』という本がおもしろかった、という話をする。

 

 


はじめ軽い気持ちで読んだけれど、すごいしっかりした本で、若い女性・三宅香帆さんからたくさん学ばせてもらった、という話をした。


例えば⋯⋯。

◯明治から現在まで、日本人の「本の受容の歴史」。それぞれの時代によって、読書の役割が変遷してきた。「あっ、そうか。そうだったね」となっとくがいくように説明されている。


◯本を読むとノイズがはいる。それがいい。何かしらその本をはみ出してしまう要素がある。そのノイズを、ほかの本で広げたり深めたりするのもたのしい。最初から目標が決まっているスマホのゲームなどでは味わえない。


◯この本のメインテーマ「働きながら本を読むにはどうしたらいい?」の【問い】には⋯⋯

 

【答え】「全身全霊」で一つのことに没頭しないこと。仕事もそう。常識とは反対かもしれない。しかし、何かに100%没頭してしまうとほかが見えなくなる。いつも半分「もう一つの世界」を自分のなかに持つようにすれば⋯⋯と心の持ち方を提案している。


わたしの言葉でまとめたので、三宅香帆さんのいうニュアンスとは少しちがうかもしれない。


拙い表現でこの本の魅力をtukaさんに説明したが、届いたかどうかわからない。