かぶとむし日記

映画、音楽、本の感想を中心に日記を更新しています。

【備忘録】〜桐野夏生著『オパールの炎』〜映画『今日の空が一番好き、と言えない僕は』。

『今日の空が一番好き、とまだ言えない僕は』。


1ヶ月くらい前に読んだ本と見た映画──忘れないための記録として。


4月29日㈫。晴れ。
シネ・リーブル池袋」へ、Sさんと大九明子(おおく・あきこ)監督『今日の空が一番好き、と言えない僕は』を見にいく。


映画館は「ルミネ」の8階にある。いい天気だったので、8階の中庭で30分ほど本を読む。読んでいるのは図書館で借りた桐野夏生オパールの炎』

 

時代に先駆けてピル解禁を訴えていた女は──突然、姿を消した。謎多き女をめぐる証言から、世の理不尽を抉りだす圧巻の傑作長篇(中央公論新社」の紹介文)。

 

夫の不倫、離婚後の慰謝料や養育費の不払いなど──男の身勝手さに苦しみ泣かされる女性に、寄り添い味方してくれる女性活動家・塙玲衣子(はにわ・れいこ)が主人公。

 

が、彼女は有名になるにつれ、宗教法人を組織し、やがて選挙に立候補者をたてるが、全員落選する──その後彼女の行方がわからなくなってしまう。

 

そんな謎の多い彼女(塙玲衣子)の人生を、作中のライターは、証言者から証言者をたどって、追っていく。

 

塙玲衣子当人は登場しない。モデルはあったらしいが、不明な点が多いので、作者は想像力で補完し、フィクションとして完成させたという。

 

彼女にかかわった人たちのさまざまな証言から、塙玲衣子の人物像が少しずつ見えてくる。ミステリー・タッチのおもしろさ。どう決着するのか先が読めない。

 


12時55分から映画『今日の空が一番好き、とまだいえない僕は』がスタート。

 

前半はどういう展開になっていくのか興味があった。河合優実の新作という関心もあった。彼女は新しい役柄をどう演じているのか?

 

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前半は飄々とした展開が、興味をひいた。


でも、アルバイト仲間の女性が主人公に愛の告白をする(内容は失恋の恨みごとに近い)──それがエンエンと続いて、「もう勘弁してくれ!」といいたくなった。


長回し、長広舌はけっして嫌いではない。今泉力哉監督の映画『街の上で』の、あの若葉竜也と中田青渚(なかた・せいな)の長回しはなんというか痛快だったし、何度もあのシーンを見た。


でも、これは重すぎる。クドすぎる。

 

このシーンからわたしは気持ちが萎えてしまった。


後半のこねくりまわした不自然な展開も、わたしには合わない。大九明子監督の力の入れ具合が、わたしには過剰なものを喉からつめこまれたようで胃が重くなった。

 

河合優実の出演作品としても印象が淡い。