かぶとむし日記

映画、音楽、本の感想を中心に日記を更新しています。

思い出の映画2本『野菊の如く君なりき』〜『寅次郎忘れな草』(葛飾柴又を歩いた1日)。

 

堀切菖蒲園へ行く途中の七福神



 

 

6月1日㈰。

トミ坊(ミトミ君)が住んでいる京成線堀切菖蒲園駅へ、Sさんと行く。

 

 

トミ坊の運転で葛飾区周辺を案内してもらう予定。

 

 

これまで柴又に行くのはいつも京成電車だったので、クルマでまわるのははじめて。

 

 

11時に堀切菖蒲園駅でトミ坊と合流する。

 

 

 

はじめに寅さん映画『男はつらいよの舞台である葛飾柴又へいく。

 

 

停められる駐車場をさがして無事駐車。歩いて「帝釈天」へ。

 

柴又帝釈天──正式の名称は、「経栄山題経寺」。寅さんシリーズでは「帝釈天」で通している。笠智衆は、この寺の住職の役。独特な語り口で、シリーズの重要なバイ・プレイヤーになっている。

 

柴又帝釈天wikipediaより拝借)。

 

 

 

帝釈天の境内をぬけて「山本亭」の庭園を見る。見学の人が多いので、日本家屋のなかをひと回りして外へ出た。

 

野外を歩いていると、やや暑いくらいの天気。

 

 

ベンチで休むと風が気持ちいい。小高い公園があって、そこから江戸川が見える。

 

 

 

江戸川の対岸は、千葉県の松戸市

 

 

川を渡るには、映画や演歌で知られる矢切の渡しの舟が利用できる(片道:200円)。川幅は約150メートル。

 

 

いまも舟が向こう岸に停まって、柴又までもどる客を待っていた。

 

 

対岸の松戸市は、伊藤左千夫の名作野菊の墓の舞台。この小説のなかに登場する人物・政夫も「矢切の渡し」を使って松戸市と東京を行き来する。明治のころは東京へ出る交通機関として実用に、現代は観光用に利用されている。

 

わたしも以前「矢切の渡し」で江戸川を渡り、『野菊の墓』文学碑まで歩いたことがある。文学碑があるのは、西蓮寺。岸から歩いて20〜30分かかったか。

 

 

小説『野菊の墓』が発表されたのは、明治39年(1906)。松戸市の農村・旧家が物語の舞台。

 

 

政夫(数え15歳)と民子(数え17歳)は、従姉弟(いとこ)同士。政夫は本家、民子は分家の子。

 

幼少の頃から仲良く育てられた。15歳と17歳になっても仲がいい。それがやっかみもあって、「ふしだらだ」と近隣の噂になる。

 

ほっといたら、早晩まちがいを起こすだろう、という。

 

「女性が2歳上」──というのも当時の風習として受け入れがたいようだ。

 

時代は明治の農村、隣り近所の目がうるさい! 

 

東京の政夫(学校の寮にいる)には知らされぬまま、民子は他家に嫁がされてしまう。

 

 

心ない人々の陰口が相愛の男女を引き裂いていく悲恋の物語。

 

 

野菊の墓』を映画化したのが、木下恵介監督『野菊の如く君なりき』。昭和30年(1955)の作品。

 

『野菊の如く君なりき』の政夫と民子。
民子を演じた有田紀子が可愛い。

 

 

木下恵介監督は、映画の舞台を千葉県から自然にかこまれた信州(長野県)に移している。

 

 

その効果は抜群で、山河を背景にした白黒映像が非常に美しい。日本映画の名作のひとつ。

 

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「寅さん記念館」山田洋次ミュージアムと見て回る。

 

帝釈天の参道」ミニチュア(「寅さん記念館」)

 

「寅さん記念館」へ入ると「とらや」さんのセットがあって、店番の寅さんが居眠りしている。

 

 

前日、せっかく柴又へいくのだから、といって、Sさんと男はつらいよ 忘れな草を「Amazonプライム」の配信で見た(何度も見ているので途中まで)。シリーズ第11作目。昭和48年(1973年)の作品。

 

 

特に『忘れな草』を選んだ理由はない。「男はつらいよシリーズ」のどの作品でも、帝釈天や参道、そしてだんご屋「とらや」さんのお店を見ることができるから。

 

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忘れな草』は、マドンナのリリー(ドサ回りのクラブ歌手)がはじめて登場した作品。リリーを演じたのは浅丘ルリ子

 

 

リリー役の浅丘ルリ子がいい。

 

 

テキ屋の寅さんとドサ回り歌手のリリー。定住することなく、旅から旅へさすらうふたりの出会い。

 

 

この作品以降、リリーは寅さんシリーズで一番人気のマドンナになった。

 

フーテンの寅とリリー。

 

 

 

クルマにもどって、水元公園へいく。

 

 

駐車場が混んでいて、やっとはいれた。思っていた以上に広い。緑が多くて、広い水辺がきれい。しかし、水辺に沿って歩いてもベンチがない。柴又ではわりと元気に歩いたが、あまり体力が残っていない。適当に水辺を見て、クルマへもどる。

 

 

 

 

いったんトミ坊の家へもどり、駐車場へクルマを置いてから、堀切菖蒲園まで歩く。これがめっぽう遠かった。

 

 

通りや路地を曲がっても曲がってもまだ着かない。

 

 

トミ坊に「まだかい?」と聞くと「もうすぐですよ」という。それを何回繰り返したか。

 

 

「おまえはオオカミ老人か!」と心のなかでののしる。

 

トミ坊は、Sさんとわたしより10歳下。体力の差を感じる。

 

 

Sさんもわたしも、限界に近く体力を消耗したころ、やっと堀切菖蒲園に着いた。園内にあるベンチにSさんとわたしは倒れ込むように座る。

 

 

トミ坊が自動販売機から水を買ってきてくれた。

 

 

菖蒲はだいぶ咲いてきているが、ピークまではもうひと息──そんな感じだった。

 

堀切菖蒲園01。

 

堀切菖蒲園02。

 

途中にあった中華屋さんまでもどり、Sさんはアルコールがダメなのでコーラ。トミ坊とわたしは冷えたビールを渇いた喉に流し込む。