6月14日㈯。
ブライアン・ウィルソンの訃報をネットのニュースで知った。
ハーモニーと陽光にあふれたサウンドでカリフォルニア・ロックを象徴し、ポップ音楽史に多大な足跡を残したビーチ・ボーイズのリーダー、ブライアン・ウィルソンが亡くなった。米国時間6月11日(日本時間12日)、家族が公式サイトで発表した。享年82歳。(Rolling Stone誌より)
ビーチ・ボーイズの音楽を作曲し、独創的なベースプレイヤーとしても知られるブライアン・ウィルソンが亡くなった。
彼は、ビーチ・ボーイズ時代にサーフィン・ミュージックを次々ヒットさせたが、じつは本人サーフィンどころか泳ぐこともできなかった、という話を聞いて、同じく泳げないわたしは、ブライアンに親しみが
わいた(笑)。
ビートルズのアルバム『ラバー・ソウル』を聴き、衝撃を受けたブライアンは、サーフィン・ミュージック以外の音楽に挑戦。それが代表作といわれるアルバム『ペット・サウンズ』に結実。
ビーチ・ボーイズのツアーに参加せず(バンドの中心メンバーなのに?)、ブライアンはスタジオ・ミュージシャンを集め、レコーディング・スタジオにこもってニュー・アルバム『ペット・サウンズ』づくりに専念する。
そこで、単独でアルバムのオケ(ヴォーカル以外の演奏部分)をつくってしまう。ツアーから帰ったメンバーがヴォーカル&コーラスを入れれば、すぐにアルバムが完成できるように準備した。
しかし、クルマやサーフィンという若者向け音楽のヒットに満足している他のメンバーは、地味な『ペット・サウンズ』を喜ばなかった──ブライアンはバンドのなかで孤立する。
が、味方は意外なところから現れた。
ポール・マッカートニーが、ビートルズのアルバム『サージェント・ペパーズ』は、『ペット・サウンズ』に刺激されてつくった、と激賞。ビートルズのプロデューサー、ジョージ・マーチンも、ブライアンを「真の天才」と称賛した。
その後も『ペット・サウンズ』は、年々評価が高くなり、いまではビーチ・ボーイズの代表的なアルバムとされている。
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2016年4月12日に、わたしは「東京国際フォーラムA」でブライアン・ウィルソンのソロ・コンサートを見ている。
そのときの感想をブログから引くと⋯⋯
第二部は、いよいよアルバム『ペット・サウンズ』の完全再現ライブ。何度も聴いたこのアルバムがまさにライブでひとつひとつ再現されていく。ブライアンの声は伸びがなくて、ちょっと不安になるがバンドのコーラスがそれを完全サポートしていく。聴きようによっては、ブライアンの途切れそうなヴォーカルに味わいを感じたりもする。ブライアン以外にもヴォーカリストが何人かいるので、パートパートでリードヴォーカルを交代していく。プレイヤーとしては、あくまでブライアンは、このバンドのひとりなのだ。完全再現ライブとタイトルされているように、アルバムの細かな音がていねいに再現されていく。繰り返すけれど、バンドがすばらしい。
(2016年4月12日)
ロック・ミュージシャンは、実際の年齢よりも若く見える──という漠然としたイメージがあるが、ブライアンはステージの中央にあるキーボードまで付き添いに支えられて歩き、ステージが終わると付き添いに助けられて帰っていく。
同世代のポール・マッカートニーやミック・ジャガーの若々しいライブとは好対照だが、わたしはブライアン・ウィルソンのそのときの姿が、崇高なものを見ているように感じられた。
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ブライアンらしい広がりのあるコーラスと演奏で「グッド・ヴァイブレーション」(2016年のライブから)。