
保護者の母・律子、教師・薮下、雑誌記者・鳴海三千彦。
7月5日(土)。
Sさんに運転をしてもらい「ウニクス南古谷」へ三池崇史監督の『でっちあげ』を見にいく。
暑い暑い。クルマを出ると熱線にからだが包まれるよう。
Sさんはショッピングモールで買い物をするという。わたしはここへ来るとよく寄る「コーヒーショップ」で、コーヒーを飲みながら本を読む。
川本三郎著『荷風の昭和』の上巻。Kindle版で90%まで来た。これが終わったらまだ下巻がある。いつまで読んでるんだよ。読むのが遅すぎる!
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三池崇史監督が綾野剛を主演に迎え、日本で初めて教師による児童へのいじめが認定された体罰事件を題材にした福田ますみのルポタージュ「でっちあげ 福岡『殺人教師』事件の真相」を映画化。
(「映画.com」より)
教師・薮下誠一(綾野剛)と被害者(小学生)の両親、話がくいちがう。
薮下にはいじめの認識はない。しかし被害者の母親・律子(柴咲コウ)は強硬にいじめがあったことを主張し、譲らない。
苦情を受けた校長と教頭は、ともかく真実の追求よりは丸くおさめようと、薮下にいじめを認めて謝るようにいう。薮下はなっとくしないまま「謝罪」をする。このことがあとあと薮下に重くのしかかる。
教師側と保護者側。2つの証言がくいちがう。真実はわからないものだ、という芥川龍之介の「藪の中」式テーマではない。
利がどちらにあるか、裁判で争うことになる。
ただ薮下教師が「謝罪」をしている以上、「いじめが真実」と、一応は認めたことになる。
保護者の母・律子は、教師が「おまえのような奴は死んでしまえ」と子どもに言い放ったという。
それをマスコミが、世間に流す。
マスコミが付けた名前は「殺人教師」。ネーミングが与える効果はすごい。裁判をひらく前に、白か黒の印象を決定づけてしまう。
ヤジウマの張り紙や落書きで、薮下とその家族は世間から追い込まれていく。
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実話がもとになっているという。「モンスターペアレント」という言葉を耳にしたことがあるけれど、この映画の被害者側の両親は、まさにそれだろう。
真実よりも、その場を小さく収めようとする学校側の姿勢も「一教師」の立場を追い込むことになる。
綾野剛演じる薮下がよかった。律子(保護者)の証言する「薮下」と、薮下本人が証言する「薮下」は、「同一人間」であるように思えない。
「殺人教師」と「気弱で優しい教師」──「ふたりの薮下」を綾野剛がみごとに演じ分ける。
柴咲コウの母親役は、怖い。笑わない。表情がない。目だけが強く光る。
どちらかというと善人を演じることの多い光石研が、教師を庇わない冷酷な校長を演じている。露骨に悪人顔をしていないからいい。
原作は、福田ますみのルポタージュ『でっちあげ』。
わたしは読んでいないが、Sさんは読んでいた。「映画は原作に忠実だった」と話している。