
7月17日(木)。
Sさんの運転で、「ウニクス南古谷」へ、内田英治監督の映画『逆火』を見にいく。
「ウニクス南古谷」は、わたしが見にいくのには一番便利な映画館だけれど、大衆性の強い映画を上映する映画館なので、地味めな作品は上映してくれないことが多い。
でも、おどろいた。
『逆火』は決して大衆性の強い作品とはいえない。主演の北村有起哉も脇役としてはよく見かけるが、代表作はおもいつかないし、ヒロインのARISAを演じる円井わんは、『MONDAYS このタイムループ、上司に気づかせないと終わらない』に出演していたと「映画.com」に紹介されているけれど、その映画は見たが、どの役の女優がそうだったのか思い出せない。
ところが今回、埼玉県で『逆火』を上映してくれるのは、なんと「ウニクス南古谷」──この1館だけなのだ。
あまりにふしぎなので、Sさんを誘って見に行ってみた。
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家族のことを顧みず、いつか映画監督になることを夢見ながら助監督として撮影現場で働く野島。次の仕事は、貧しい家庭で育ちヤングケアラーとなりながらも成功したARISAの自伝小説の映画化だった。しかしARISAの周辺で話を聞くうちに、小説に書かれた美談とは程遠い、ある疑惑が浮かび上がる。
(「映画.com」から)
ARISAという少女が、貧しい家庭に育ちながら、逆境に負けず懸命に病気の父を介護した──という自伝的「美談」小説がベストセラーになり、ARISAはスターになった。
映画化の話がすすむ。
しかし、助監督の野島浩介(北村有起哉)がARISAについて聞き込み取材をすすめると、「美談」とはちがう事実が出てくる。
ARISAは病気の父から虐待を受けていたようだし、彼女も父を憎んでいた。
父が歩道橋の階段から落ちて亡くなったのは、あるいはARISAがそれにかかわっていたのかもしれない、そんな疑惑も湧いてくる。
ARISAの原作をそのまま映画化するのは、事実を歪曲することになるのではないか。
野島は、取材経過を監督や映画会社に報告するが⋯⋯。
★
「美談」か「リアリズム」かという色分けが両極すぎるような気がする。奥行きがない。
そもそも、そんな美談をそのまま映画にしておもしろいだろうか(なのに最後何かの映画賞をとる)。
ARISA自身、まといつく「美談」の称賛に疲れている。
自伝が事実でないという野島の取材を、ARISA自身も容認しているようだ。
だったら、彼女が幼少から父に虐待を受け、苦しみながら少女時代を過ごし、その後、憎しみすら感じつつ病気の父を介護していった──そういった野島の取材をもとに、映画の内容を修正したほうがいいのではないか。
「美談」から「リアリズム」に──。
が、野島の意見は除けられる。
商業性を考慮して、監督とプロデューサーは「美談」のまま映画化を決断する。
そしてまさか──?
完成した映画が、何かの映画賞を受賞するのだが、そんな魂の欠如した映画が高い評価を受けるものだろうか?
終わり方も強引。この映画が終了するまでに、わたしは興味が冷めていた。