
8月3日(日)。
Sさんと「川越スカラ座」へ松原文枝監督『黒川の女たち』を見にいく。暑いところへもってきて、脊柱管狭窄症(せきちゅうかんきょうさくしょう)のため、4〜5分歩くたびに途中休憩しなければならない。はがゆいったらない。
「川越スカラ座』は、いつもより混んでいた。
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戦時下の満州で黒川開拓団の女性たちに起きた
「接待」という名の性暴力の実態に迫ったドキュメンタリー。
1930~40年代に日本政府の国策のもと実施された満蒙開拓により、日本各地から中国・満州の地に渡った満蒙開拓団。日本の敗戦が濃厚になるなか、1945年8月にソ連軍が満州に侵攻し、開拓団の人々は過酷な状況に追い込まれた。岐阜県から渡った黒川開拓団の人々は生きて日本に帰るため、数えで18歳以上の15人の女性を性の相手として差し出すことで、敵であるソ連軍に助けを求めた。帰国後、女性たちを待ち受けていたのは差別と偏見の目だった。心身ともに傷を負った彼女たちの声はかき消され、この事実は長年にわたり伏せられることになる。しかし戦争から約70年が経った2013年、黒川の女性たちは手を携え、幾重にも重なる加害の事実を公の場で語りはじめた。
そんな女性たちのオーラルストーリーを「ハマのドン」の松原文枝監督が丁寧に紡き俳優の大竹しのぶが語りを担当。
(「映画.com」より)
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終戦直前、ソ連が「日ソ中立条約」を破って突然満州に侵攻してくる。開拓団として日本から海を渡っていた日本人はあわてた。
「岐阜県から渡った黒川開拓団の人々は生きて日本に帰るため、数えで18歳以上の15人の女性を性の相手として差し出すことで、敵であるソ連軍に助けを求めた。」(「映画.com」)。
仲間の日本人を救うため、15人の若い女性は、ソ連兵に「接待」を提供した。
帰国すると、そのことが誹謗・中傷された。
身の置き場がない。
やっと帰国したのに、彼女たちは故郷から遠く離れ、身を隠すようにひっそりと戦後の生活を送った。
過去を隠して結婚した人もいる。それもつらい。
配偶者にも子どもたちにも話すことができない孤独な苦しみ。またなんのきっかけでその秘密が露見してしまうかもしれない日々の恐れ──想像するに胸が痛くなる。
しかし、2013年。
埋もれかけた「黒歴史」を語りはじめた女性がいる。そのひとりが佐藤ハルエさん。
「このままでは歴史のなかに埋もれてしまう」
ハルエさんが語りはじめると、ほかの人たちも沈黙を破って重い口をひらいた。
「黒川の女たち」の当時の苦しい決断が、明らかにされる。
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この映画の監督、松原文枝氏のことを少し。
安倍政権の時代、政府(国家権力)がメディアに介入する大きな事件があった。
2015年3月27日の「報道ステーション」で、古賀茂明氏が番組中に「I am not ABE」のフリップを掲げた。これが問題になる。
安倍政権から「テレビ朝日」に苦情が入った。
それが原因か、古賀氏は番組のコメンテーターを降板する。
このとき「報道ステーション」のチーフ・ディレクターだったのが松原文枝氏。
松原氏も「報道ステーション」を降板になった。
「テレビ朝日」は、番組編成による「人事異動」と説明したが、どうだったか?
古賀茂明氏曰く、
「番組のディクレター(松原氏のこと)は、コメンテーターに自由な発言をさせてくれる人だった。彼女が更迭されたのは残念」──と、暗に松原文枝氏の番組降板は通常の「人事異動」ではなく、安倍政権のメディア介入が直接の理由であることを匂わせた(明言したといってもいいかもしれない)。
「I am not ABE」のフリップを掲げたいきさつについて古賀茂明氏は次のように説明しています。
わたしはそのとき、その女性ディレクターとはどんな人だろう、と思って、気にかかっていた。
その記憶があったので、松原文枝氏がドキュメンタリー映画『ハマのドン』を撮り、それが公開になると知ったとき、「新宿ピカデリー」へ見にいった。
横浜のカジノ誘致騒動。2021年8月の横浜市長選は、「カジノ誘致」の是非が争点になった。
推進派のトップは菅義偉首相(当時)。反対派のトップは「ハマのドン」こと藤木幸夫氏。
「カジノ誘致問題」と同時に、この二人の対決が世間の関心を集めた。
カジノ問題は横浜においては、市長選の結果、反対派が勝利した。
その一部始終を、カメラがとらえたのが映画『ハマのドン』。
藤木氏は、もともとは自民党に近い人。が、思想の右左にとらわれず、藤木氏は「横浜にカジノはつくらせない」という信念を、時の権力者相手に貫いた。
小気味のいい映画で、おもしろかった。
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『黒川の女たち』は、『ハマのドン』に次ぐ松原文枝監督の二作目の作品。
戦前・戦中の日本を美化し、それにそぐわない「歴史」をなかったことにしようとする風潮に、日頃からわたしは不満だった。
「あったことをなかったことにはできない」
という映画『黒川の女たち』の姿勢に共感。気持ちよく映画館を出た。