かぶとむし日記

映画、音楽、本の感想を中心に日記を更新しています。

パンクロックの映画『ストリート・キングダム 〜 自分の音を鳴らせ』を見る。

映画『ストリートキングダム 〜 自分の音を鳴らせ』。吉岡里帆、若葉竜也、峯田和伸。



3月27日(金曜日)。
Sさんの運転で、「ウニクス南古谷」へ、田口トモロヲ監督、峯田和伸、若葉竜也主演の『ストリート・キングダム 自分の音を鳴らせ』を見にいく。

 


最終上映20時40分 〜 23時終了の回。こんな遅い回に行ったのは、映画を早く見たいのに、明日から「桜見物」の一泊旅行へ出かけるため。

 

 

 

 

【登場する個性的なキャラクター映像】

www.youtube.comhttps://www.youtube.com/watch?v=MhSqg_p4tsA

 

 

 

【解説】
「アイデン&ティティ」の監督・田口トモロヲと脚本家・宮藤官九郎が再タッグを組んだ青春音楽映画。日本で初めてパンクロックを自分たちの手で生み出した若者たちによるムーブメント「東京ロッカーズ」の姿を、彼らのカメラマン兼マネージャーだった写真家・地引雄一の自伝的エッセイ「ストリート・キングダム」を原作に描く。

 



1978年、ラジオで耳にしたセックス・ピストルズに突き動かされて上京したカメラマンの青年ユーイチは、小さなロックミニコミ誌「ロッキンドール」をきっかけに、ライブハウスを訪れる。そこは音楽もバンドも観客たちも何にも縛られない生のエネルギーにあふれた場所で、ボーカルのモモが率いるバンド「TOKAGE」のライブに衝撃を受けたユーイチは夢中でシャッターを押す。(「映画.com」より)
https://eiga.com/movie/105077/

 

 


 


下北沢を舞台に描いた『街の上で』(今泉力也監督。2021年)を見て、主役の若葉竜也のファンになった。徹底した受け身の演技が味わい深かった。その若葉竜也が今度はパンクロックのシンガーをやるっていうんだから期待が広がる。で、実際にパンクの若葉竜也、かっこよかった。

 


ロックはずっと好きだったけど、パンクロックはスルーしてしまった。うまく出逢えなかった。でも、この映画のシンプルな主張はよくわかるし、共感もできる。

 


ブレイディみかこさんは、パンクロックの代表的バンドの一つ、セックス・ピストルズジョニー・ロットンを追いかけてイギリスへ渡ったのが、ロンドン在住のきっかけだった。

 

 

そのことを知って、読む前からブレイディみかこさんに親近感をいだきながら、彼女の本を読んだ、わたしのパンクへの予備知識は、そんな程度だった。音楽としてのパンクを、ほんとうは理解できていなかったのだ。

 

 

(註:フレイディみかこ『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』、『女たちのテロル』の著者。)

 


 


そういう中途半端なパンク知識でも、この映画はおもしろかった。からだでリズムをとって見ていた。

 


田口トモロヲ監督脚本・宮藤 官九郎の気合いが感じられる。本気のパンク映画だ。今更だけど、日本にもこんなかっこいいパンク・ムーヴメントがあったんだな、って知った。

 


パンクロックの最前線で活躍していた峯田和伸を、ミュージシャンとしてではなく、パンクのライブに衝撃を受けるカメラマンに配置したのがおもしろい。

 


観客は主人公・峯田和伸の目でパンクロックのシーンを見ることになる。峯田和伸は、実際は本物のパンク・シンガーだから、ことさらな演技をしなくても、その音楽への理解と愛情が、彼の目や感性を通して自然に観客に伝わってくる。

 


若葉竜也は、『街の上で』では受け身95%の演技だった。が、こっちの映画では攻撃が主体であるにしても、受け身の演技も光っている。うまい。かっこいい。ますます若葉竜也のファンになってしまった。

 


だから、若葉竜也の表情が、攻めて攻めまくるパンク映画のなかに、冷静さと間合いをもたらしている。

 


ヒロインが吉岡里帆。最近じわじわ存在感を増している。きれいだけどナヨナヨしていない。どこかすっ飛んでいる(笑)。

 


今回もよかった。パンクバンドに共感し、ミニコミ雑誌を発行している。さらに自分でも女性だけのパンクバンドをつくり、ベースを担当する。

 


吉岡里帆をメインボーカルのスターに設定ではなく、ベースギターの奏者にしたことが製作者のまじめな姿勢を感じる。美人だからって、簡単にメインボーカルをやれるほど、パンクもロックも簡単じゃない。そういう配慮が映画の細部に行き届いている。

 


原作がそうなんだろうけど(未読)、吉岡里帆役のヒロインがカメラマンの峯田和伸とも、バンドのどのメンバーとも恋愛関係にならないのがいい。ここに恋愛を挟むと、カラっとした気分がベタベタしてくるもの。

 


実生活では、母親に「1000円ちょうだい」という若葉竜也が、レコード会社の商業主義に迎合せず、「自分の音を鳴らす」ことに執着する姿勢──それをこの映画はおちょくるのではなく、コミカルながら、純粋なパンクの精神として描いている。それが気持ちいい。

 


まだ言い残しているところがいっぱいありそうだけれど、とりあえずの感想をあげます。

 


ちなみにSさんは、わたし以上にパンクの予備知識がないけれど、「若葉竜也がかっこよかった」といい(『街の上で』では、言わなかった)、2時間20分の長い映画を楽しんでいた。