
4月6日(月曜日)。
友人のtukaさんからLINEで「絶対、おもしろい」と薦められたのが、フランスの女性作家メリッサ・ダ・コスタ(山本知子訳)『空、はてしない青』(上下)。電子書籍にあったのでダウンロードする。
先にSさんが読みはじめ、すぐあとから追いかけるようにしてわたしも読み出した。
【Amazonの解説】
「若年性アルツハイマーと宣告された男性、26歳。人生最後の旅の道連れ募集」。エミルは病院と周りの同情から逃れるため、旅に出ることにした。長くても余命2年。同行者を掲示板で募集したところ、返信が届いた。「高速道路の三番出口で待ち合わせしよう。こちらは、つばの広い黒い帽子にゴールドのサンダルに赤いリュック。どう?」。現れたのはジョアンヌと名乗る小柄な若い女性。自分のことは何も語らない。2人はとりあえず、ピレネー山脈に向けキャンピングカーで出発することにした。それは、驚くほど美しい旅の始まりだったーー。
爽やかな筆致で描く、命と愛、生きる喜びについての感動大長編。
翻訳がいい。読みやすい。名前がカタカナであることをのぞけば、翻訳を読むときにつきものの違和感がない。
若年性アルツハイマーのエミルの人生最後の旅と、それに付き合う若い女性・ジョアンヌとの「ロード・ムービー」ではなく、「ロード・ノベル」。
設定から、劇的なストーリーを想像してしまうけれど、解説の通り、爽やかな筆致で静かに静かに二人の過ごす最後の旅が描かれていく。
フランスの実在する土地から土地へ二人は旅する。
風景描写が美しいにちがいない、と思うけど、わたしはフランスの自然の風景を見たことがなく、自分が日本で見たことのある風景に置き換えて読んでしまう。それがちょっと残念だ。
行く先々で人と人との出会いがあり、ストーリーは徐々に穏やかにすすんでいく。
しかし、後半は、若年性アルツハイマーの厳しい症状が、エミルの中に広がっていく。自分の目の前にいる人物もわからなくなる。ジョアンヌでさえも。
エミルは、あるときは学生時代、あるときは少年時代に戻って、ジョアンヌを当時の恋人の名前で呼んだり、「ママっ」って話しかけてきたりする。
26年間のさまざまな過去に行ったり、現実に戻ったり、エミルが今人生のどこにいるのか──ジョアンヌの接し方はむずかしい。
最初口数の少なかったジョアンヌが、後半になると存在感を増してくる。
彼女が過去に深い傷を負った経験があるから、エミルの困難な状況にも寄り添えるのだ、ということがわかってくる。
エンディングは激しく心を揺さぶられた。
★
しかし、映画もそうだけど、わたしは小説に感動しても、それをうまく表現する能力をもっていない。いつもそれがはがゆい。
日本では、この本がメリッサ・ダ・コスタ(30歳代のフランス女性作家)の初めて翻訳された小説みたいで、次の翻訳作品『立ち上がる時(上下)』は、同じ山本知子訳(この訳者でずっといってほしい)で4月22日に発売されることが決定しているようだ。
ただ、講談社に問い合わせたら、発売前なので、電子書籍として発売するかどうか事前に発表できない、という。「電子書籍で出すかを発売前に教えられない」って何か意味がある?──そう聞きたかったが、窓口の女性を責めてもしかたがないので「わかりました」といって電話を切った。