かぶとむし日記

映画、音楽、本の感想を中心に日記を更新しています。

平山秀幸監督『しゃべれどもしゃべれども』


いいなあ、こういう作品。感触がやわらかくて、強引なところがなくって。それなのに、みょうにあったかく感動してしまう。

やっぱり若手落語家を演じた国分太一がいい。落語が好きで、明るくて、自然にやさしくて、一生懸命生きている……それを露骨に演技しない。ふわりふわり生きていながら、なんとかもっと落語をうまくしゃべれるようになりたい、とがんばっている。

終始怖い顔をしている香里奈も悪くない。彼女がいきりなしゃべる「火焔太鼓」にびっくり。失恋してから、ひととうまくコミュニケーションできなくなった彼女が、こころが少しずつ癒えてから、ふと見せる笑顔が美しい。

上映中なので細かく触れませんが、期待どおりのうれしい作品でした。


【追記】:「三ノ輪」〜「早稲田」間の都電、それから隅田川、浅草の風景が何度も映画に出てくるのも、最近その周辺をたどったぼくには、ちょっとうれしい発見でした。