池袋の新文芸座で、久しぶりに西部劇を2本見ましたた。といってもゲイリー・クーパーやジョン・ウェンが活躍していた古いものではなくて、70年代に制作されたニュー・ウエーブ・ウエスタンです。
1本はピーター・ホンダ監督・主演の「さすらいのカウボーイ」。これは、一種の友情もの西部劇です。信頼を裏切らない男と男の友情がテーマです。でも‥‥70年代にそれを描いてみたかったピーター・ホンダの、その心は?(笑)
これって、「ララミー牧場」(知る人ぞ、知る<笑>)から先に出ていないじゃん(笑)。
最後に主人公が死んでしまうのが、70年代に流行していた西部劇らしいけど、まともすぎる友情劇で、これ1作で見る限りピーター・ホンダ監督の作品をもっと見たいな、とは思えませんでした。
もう1本はサム・ペキンパー監督の「ガルシアの首」。昔テレビで見た記憶がありますが、見るまで内容が思い出せませんでした。で、改めて見ましたが、やはり少し時間が経つと忘れそうな映画です(笑)。
10万ドルの賞金がかかったガルシアの首をめぐって、男の欲望が渦をまき、登場人物のほとんどが銃の撃ち合いで死んでしまう、というアクション西部劇です。男性の勇気やアクションを骨太に描くペキンパー監督ですが、今の時代には、なんだかうっとおしい勇猛さではないかと思ってしまいました(笑)。
サム・ペキンパー監督には「わらの犬」という、臆病な男性が追い詰められたときの、狂気的な勇猛さを描いた傑作があります。いわゆる臆病でおとなしい人間が、最後にキレまくる怖い映画でした。これは、ぼく自身の闇の心にも触れてくる怖さです。この作品を見たときの感動は、いまでも鮮明に記憶しています。その後、亜流作品がたくさん出来ました。
しかし、その他の彼の作品は、ペキンパーの敬愛する黒澤明にははるかに及ばない気がしてしまいます。今も単純な勇猛さを描いたアメリカ映画は、いやになるほど氾濫しています。ぼくは、どうもアメリカ映画の好む勇猛さが、うっとおしいのですが‥‥。