井上靖の名著「淀どの日記」を、豪華賢覧なエンターテイメント絵巻として映画化。父の仇と思いながら秀吉の側室として世継ぎを生み育てた茶々を通して、戦乱の時代を生きた女性を描く。戦国時代を再現するために使用された美術が見事。現在京都市が所有している伏見桃山城を、総工費1億円かけて大阪城として改装。歴史に生きる女性茶々を、生き生きと現代に甦られせている。茶々を演じるのは、元宝塚宙組のトップスターでこれが映画初出演、初主演となる和央ようか。男役時代に培った凛とした風格で、女帝茶々を見事に演じ上げている。共演は、寺島しのぶ、富田靖子、高島礼子、渡部篤郎、中村獅童ら。監督は『極道の妻たち 情炎』の橋本一。
(「goo映画」解説より)
炎上する大阪城の光景を大きな画面で見ているのは迫力がありました。登場する女性たちの豪華な衣装も見どころです。映像的にはたのしむことのできる作品でした。
しかし、あまりにも話の展開は粗雑でびっくりしてしまいます。生意気なようですが、これは映画の水準に達していないのではないか、とおもいます。年末・年始に民放で放映している大型時代劇を見ているような気がしてきました。といっても、その大型時代劇をちゃんと見たことはないのですが。
松方弘樹の織田信長を見ているうちに、「これは?」という不安がきざしてきました。粗暴なだけの独裁者で、このひとが秋山駿が名著『信長』で、「日本の歴史上、最高の天才」と呼ぶだけの人物に該当するかどうか。盲人が象をなでたような、卑小な人物描写に、もうこの映画の出来具合は読めてしまいました。
豪華な出演者が空回りしているような作品。