かぶとむし日記

映画、音楽、本の感想を中心に日記を更新しています。

中村義洋監督『ルート225』に興奮の巻!!(笑)


最近青春映画の当たりが続いています。もちろん、推薦してくれたブログ仲間のみなさんの感覚が頼りになるから、というこですけど。


あしたの私のつくり方 [DVD]
市川準監督『あしたの私のつくりかた』(2007年)は、家族や学校のなかで、小学校・中学校と<いい子>を通してきた寿里(成海璃子)が、かつていじめにあっていた日南子(前田敦子)を、携帯電話で励ましていくうちに、やがて自分自身の<ほんとうの心>を発見していく話。


<本当の自分探し>なんてテーマ、以前にもいっぱいあったのでは、という気がしますけれど、主演の成海璃子の存在感と、ケータイを小道具に使ってのストーリー展開は、とても新鮮でした。見おわったあとの気持ちが爽快で、少女たちの未来を応援したい、そんなあたたかい、いい人になってしまいました(笑)


★   ★   ★


さよならみどりちゃん [DVD]
古厩智之(ふるまやともゆき)監督の『さよならみどりちゃん』(2005年)は、もう少し年齢のいった20代OLの話。


主人公のゆうこ(星野真理)は、ユタカ(西島秀俊)と初めてセックスしたあと、あっさりと「他に、恋人がいる」といわれてしまいます。


ユタカは、他に彼女がいる、とわかっても、女性たちが離れることのできない、そんな同性の男から見たら、絶対許せない……<女ったらし>(懐かしい言葉、もう死語かな?)です。


ユタカを演じた西島秀俊という俳優がいいですね。女性ととっかえひっかえ付き合い、複数の女性と付き合いながら、罪悪感というものが根本的に欠落している……そんな、でも憎めない、かわいげのある男性をぴったりに演じています。


ゆうこは、そんなユタカのセックス・フレンドのひとりになるが、他の女を嫉妬することすら許されません。お人よしで、男にだらしない、情けないゆうこ。けれど、こんな女性、あちこち等身大で存在しているような気がしますね。


こういう<愛>もあるだろう、って星野真理の美しいけど、どこか頼りない笑顔を見ていると、なっとくしてしまう映画でした。


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ルート225 [DVD]
なかでも青春映画で圧巻だったのは、中村義洋監督『ルート225』(2005年)。


少しだけ違う世界に迷いこんでしまった姉弟(きょうだい)の<冒険>をていねいに描いています。細部がていねいだから、ファンタジーにつきまとう<ありえないよ>という空疎感がありません。ふたりの心の動きがとてもリアルなんです。


姉のエリ子に多部未華子、弟のダイゴに岩田力。二人の交わす、会話のリズムがいいですね。この姉弟がよくて、二人の不安や戸惑いに自然に引きこまれてしまいます。


ただこういう作品って、ムリにつじつまをあわせようとして、<終り>で腰砕けになってしまうことがよくあります。


「なあんだ」って。


でも、その危険を中村義洋監督は十分承知のようで、ラストはいい意味で予測をはずされました。


【了】