かぶとむし日記

映画、音楽、本の感想を中心に日記を更新しています。

山田五十鈴の清楚な美しさにおどろく〜成瀬巳喜男監督『鶴八鶴次郎』(1938年)


時は大正。三味線弾の鶴八と太夫の鶴次郎の新内語りの二人組みは、二十代にもかかわらず秀でた芸で人気を広めていた。二人は、恋人どうしの様に仲が良い。しかし、芸の話になると互いに一歩も譲らず大喧嘩を始めては仲直りを繰り返して…。(作品資料より)


(「goo映画」の解説より)


この映画の山田五十鈴は、芸道にひたむきで、相方と喧嘩ばかりしているが、その面影は、ハッとするほど清楚で美しい。


その後の、汚れ役でも悪役でもこなす大女優の面影とはずいぶん違っている。


「鶴八鶴次郎」の美男美女のコンビは、息のあった優れた芸で人気を博するが、舞台を降りて芸の話となると、お互いが一歩も譲らず、結局人気絶頂のなかで、コンビを解消。それぞれの道を歩むことになるが、単独の活動はなかなかうまくゆかない・・・。


まるでロック・グループの解散とその後のような話だ(笑)。


監督は成瀬巳喜男、芸道の教訓話にならないところがさすがで、視線はいつものように冷静に光っている。