かぶとむし日記

映画、音楽、本の感想を中心に日記を更新しています。

エリック・クー監督『TATSUMI マンガに革命を起こした男』を見にいく。


12月8日、角川シネマ新宿へ、エリック・クー監督『TATSUMI マンガに革命を起こした男』を見にいく。


原作は、辰己ヨシヒロ。


本人の自伝的な語りと辰己ヨシヒロの劇画が(作品がアニメーション化されている)折り重なって進むので、作品の主人公がみな辰己ヨシヒロ自身のようにおもえてしまうが、分身くらいにおもって見ればいいのかもしれない。



10代のころ、つげ義春に夢中になり、雑誌『ガロ』を読むようになった。辰己ヨシヒロは、その『ガロ』の特集で知った。


男の、ときには女の、剥き出しの欲望が凝縮された作品群だった。読んでいると、自分の心の秘密を暴露されているようで、恥ずかしくなる。それでも、リアリズムの力に惹かれて読んだ。つげ義春の作品は(とくに60年代のものは)、芯は暗くても、表はユーモアに包まれて救われたが、辰己ヨシヒロの作品は容赦がなかった。



次の5作品がアニメーションで収録されている。

「地獄/HELL」
従軍カメラマンとして、原爆直後の広島を歩いていたコヤナギは、光線によって一瞬で壁に焼きつけられた親子の人影を見つける。終戦後、コヤナギはその撮影者として一躍有名人になるが、写真の真相を知る男が現れ……。


「いとしのモンキー/BELOVED MONKEY」
四畳半のアパートで、一匹の猿と暮らしている孤独な男。職場の工場には友人はおらず、寄ってきた女は金目当て。なにもかもが嫌になり退職を決意した矢先、不慮の事故に遭ってしまう。失職した男は猿を手放すことにしたのだが……。


「男一発/JUST A MAN」
定年退職を間近に控えたハナムラ課長。会社ではもう居場所がなく、家に帰れば悪妻と娘夫婦が退職金の算段をしている。悪妻への復讐のため、ハナムラは貯金をはたいて浮気をしてやろうと試みる。


「はいってます/OCCUPIED」
連載の打ち切りを命じられた絵本作家の男。頭痛と腹痛に襲われて飛び込んだ公衆トイレには、一面に卑猥な落書き絵が。落書きから描く楽しさを再び思い出させてもらった男は、気づくとその卑猥な絵にとりつかれたようになっていた。


「グッドバイ/GOOD-BYE」
米兵相手の娼婦をしているマリコ。アル中でいつも金をせびってくる父親、信じていた米兵の裏切り、自分を軽蔑してくる町の人々……。なにもかもが嫌になったマリコが選んだ自分の道とは。


(公式ホームページより)


「いとしのモンキー/BELOVED MONKEY」のラストシーンは、当時読んだときもショックだった。


「はいってます/OCCUPIED」のように、むかしの公衆便所は和式だった。そして壁には必ず卑猥な落書きがあった・・・そんなことを思い出す。



予告編は、こちら
https://www.youtube.com/watch?v=S-9E3o7JHP4