かぶとむし日記

映画、音楽、本の感想を中心に日記を更新しています。

是枝監督のデビュー作品「幻の光」

幻の光 [DVD]
「誰も知らない」是枝裕和監督のデビュー作を見ました。
画面が俳優の顔がわからないほど暗いのにびっくり。最初は「なんでこんなに見にくいのよ、しかし」って思ってましたが、これは監督のねらいなんですね。わかってくると、多彩に変化する光の描写がとてもきれいです。

話は静かに進行します。ドラマティックな事件は、スジとしては起こりますが、描き方は淡々としています。映画の登場人物は大変な経験に遭遇しても、声を大きくあげることはありません。カメラがずっとその人物を眺めつづけるだけです。あとは、観客の想像力と理解にまかされます。

こういう「非ドラマ」的、抑えた演出は、日本の名監督小津安二郎や、成瀬巳喜男の映画を思い浮かべませんか。

新鮮な感覚のなかに、日本映画の伝統を感じさせる傑作だとおもいました。