フォ・ジェンチイ監督「故郷の香り」

何年か前、岩波ホールで見た「山の郵便配達」は、思いがけなく感動してしまった。美しい山の風景と、父子の心のふれあいをていねいに描いた傑作だった。それがアジア映画を見るキッカケになった。まだ韓国映画やドラマが話題になる少し前だ。その後、韓国映画「猟奇的な彼女」もおもしろかったので、アジア映画にのめりこみそうな気持ちもあったが、その後段々興味を失っていった。結果、この数年に見た一番印象に残るアジア映画は、「山の郵便配達」だった。

「山の郵便配達」監督の作品となれば期待はあった。そして「故郷の香り」は、「山の郵便配達」ほどではなかったが、やはりいい作品だった。
自然描写の美しさはこの映画でもひかっている。山の奥深い農村の風景は美しかった。

話は、初恋の女性との再会。青年は10年ぶりに故郷へ帰って、彼女と出会い、彼女が恵まれていない結婚生活をしていることを知る。彼女と過ごした懐かしい少年時代へ追想していく。現在と過去が交互に映像で語られていく。

全体が少し長く感じられた。でも、そういうゆったりしたリズムがこの映画にふさわしいのかもしれない。ラストは、わかってはいても、ちょっと感動的だ。

2001年中国

☆独断採点：80点