かぶとむし日記

映画、音楽、本の感想を中心に日記を更新しています。

[読書]ねじめ正一「高円寺純情商店街 本日開店」

高円寺純情商店街」シリーズの2冊めだ。1冊めと3冊めを先に読んでいたので、これで3冊全部読み終えた。
どれも登場する商店街の人たちが魅力的で楽しい。どれか1冊手にとるとあとも全部読みたくなるような魅力がある。そして愛すべきひとたちで構成される物語は、やっぱり楽しいのだ、と読書の原点を思い出させてくれる。
寅さんシリーズは、マンネリ化や保守的社会観を非難されたとしても、シリーズが終了してみると貴重な日本映画の財産だった、と気がついたのではなかったのか。そんなことも考えてしまう。
文庫本の解説とは正反対の感想になるが、本著とそのシリーズは、小説や物語の王道を愛する読者が、現代でもたくさんいることの証しではないか、とぼくは思った。
高円寺北口商店街という特定された舞台の物語だ。読者は、このシリーズを読むと高円寺駅周辺を探索したくなる(笑)。そんな気持ちを読者に起こさせたら、作品は大成功だと思う。
本日開店―高円寺純情商店街 (新潮文庫)