かぶとむし日記

映画、音楽、本の感想を中心に日記を更新しています。

山本薩夫監督『忍びの者』(1962年)



石川五右衛門市川雷蔵)は、伊賀の首領、百地三太夫伊藤雄之助)のもとで忍者の修行をしているが、三太夫の妻(岸田今日子)と密通したことが露見し、三太夫から、命を助ける交換条件に、信長の暗殺を命じられる。


五右衛門は信長を狙うが、暗殺は手間どる。


全国制覇の野望に燃える織田信長若山富三郎)は、抵抗する一向一揆の勢力(宗門、忍者など)をことごとく殲滅。そして、ついにその魔手は、伊賀にも及ぶ。


激しく抵抗する忍者集団も、勢いに乗る信長の相手にはならない。伊賀は破れ、百地三太夫も死ぬ。


石川五右衛門は、忍者から解放され、結婚したマキ(藤村志保)と、百姓として生きることを決意する……。


★★★


血に狂ったような殺人鬼・織田信長若山富三郎が熱演。信長は、抵抗する宗門、忍者を、女・子供に至るまで、ことごとく殺戮し、権力者の横暴を欲しいままに奮います。


原作の村上知義は、信長対宗門・忍者の闘いで、権力者対民衆(強者対弱者)の闘いをわかりやすく描いてみせてくれました。映画『忍びの者』は、原作のテーマをそのまま踏襲しています。


はじめて見たのは、十代のころで、石川五右衛門というと、あの歌舞伎の衣装のようなものを着て、「絶景かな絶景かな」というイメージしかなかったので、この市川雷蔵演じる忍者石川五右衛門にはびっくりしました。