かぶとむし日記

映画、音楽、本の感想を中心に日記を更新しています。

市川崑監督『かあちゃん』(2001年)


かあちゃん [DVD]
家人がDVDを借りてきていたので、いっしょに見る。


山本周五郎原作の、長屋もの人情話だった。


結論からいえば、これは映画よりも、落語で笑いをまじえながら聞きたい話だ、とおもう。


貧乏ながら人情の厚い<かあちゃん>(岸恵子)をめぐる、どこまでも善意尽くしの話である。これを映画で正面から描かれると、ちょっとこそばゆくなる。



同じ山本周五郎の長屋ものを映画化したのでは、黒澤明の『どですかでん』が思い出される。


こちらは、、、


職人の仲間同士が、妻を交換する話や、自分の娘を妊娠させるぐうたら親父の話や、インテリ乞食が、可愛い息子を食あたりで死なせてしまう話など・・・ピリピリするような辛しの効いた長屋もので、単純な<善意礼賛>ものがたりではなかった。


山本周五郎の作風は、どちらに近いのか、あまり読んでいないのでわからない。しかし、もし「かあちゃん」がこの作家の芸風だとしたら、すすんで読みたいとおもわない。