見始めたら、一気に惹きこまれてしまった。力強く緊密なストーリー展開で、ぐいぐい観客をひっぱっていく。傑作とはこういう作品のことかな、とおもう。
見る前は、テーマが社会派的でもあり、そういう大上段のものはあまり好きでないので、見るのをしぶっていたが、見たらそういう先入観は一掃されて、目が離せなくなった。
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(殺人事件の)被害者ではなく、加害者の家族をなぜ守るのか・・・という世間の冷たい眼のなかで、刑事(佐藤浩市)は黙々と職務を遂行していく。
犯人の妹を連れて、マスコミと世間の眼から逃げるが、どこでどう探してくるのか、マスコミやインターネットの掲示板は、彼らの足跡を執拗に見つけて、追っていく。
佐藤浩市が、惚れ惚れするほどうまい。かっこいい。才能とはこういうものなのか。
誰にも理解されない、当の守っている少女からもうとましがられる、というどうしようもない孤立感を、過剰な動作やセリフではなく、自然な演技で、痛いくらいに表現している。
彼が守ろうとする犯人の妹を演じる志田未来もいいし、刑事の同僚を演じる松田龍平もお仕着せがましくなくていい。
作品のもつ、問答無用の力に圧倒されてしまった。