かぶとむし日記

映画、音楽、本の感想を中心に日記を更新しています。

中島京子著『小さいおうち』

小さいおうち

小さいおうち




おもしろかった。文章がとても読みやすくて、登場人物の女中「タキさん」や、タキさんが大好きな「時子奥様」のように、おっとりしていながら利発で、気品がある。


戦後になってタキさんが、戦前、戦中に住み込んだ時子奥様と、その家族との日常の出来事を回想する形式。


細かな出来事の積み重ねが、気持ちよく自然に描かれている。うまいものだなあ、と感心してしまう。


日常まで迫ってくる戦争の足音・・・も、この一家のなかからの視点のみで描かれる。毎年お正月にやっていた向田邦子のドラマを思い出した。