北海道の寒村を舞台にして、父、長男、次男との確執が描かれる。
自分のことは何もできない父を世話するのは、次男。
彼は<自分の人生は父のためにあるのか>と鬱々として暮している。<自分の好きなことは何もできやしない>。
恋人からも、<あなたはいつもお父さんなんだよね>というような言葉で、別れを切り出される。
長男は12年前に家を出た。歌手になるつもりだったが、一向に目が出ない。もうあきらめている。妻が妊娠しているが、生活のメドも立たない。できれば、父の家に戻ろうか、と考えている。とりあえず、住む家だけは、確保できるだろう。
しかし、、、
むかしから父とそりがあわない。顔をあわせると、口論になってしまう。
父は、毎日片道8キロの雪道を歩いて、鮭の孵化場へいく。そこに子供くらい年の離れた若い女性がいて、父はその子を気に入っている。結婚を申し込むが、どこまで本気なのか、自分でもわからない。
その女性は、ある日、あたたかい沖縄へ移住する、といって旅立っていく。
母の三周忌で父、長男夫妻、次男・・・が集まる。ここでも、父と長男は衝突して、とっくみあいの喧嘩になる。どちらも、折れることができない。
父も息子も、心では、家族と和解したいと望みながら、思いとは裏腹な行動に出てしまう。
初老の緒形拳が歩いて、歩いて、歩いて、終わる・・・。
★
【追加】ringoさんの記事は、こちらです。