かぶとむし日記

映画、音楽、本の感想を中心に日記を更新しています。

小林正広監督『歩く、人』(2001年)


歩く、人 [DVD]
北海道の寒村を舞台にして、父、長男、次男との確執が描かれる。


自分のことは何もできない父を世話するのは、次男。


彼は<自分の人生は父のためにあるのか>と鬱々として暮している。<自分の好きなことは何もできやしない>。


恋人からも、<あなたはいつもお父さんなんだよね>というような言葉で、別れを切り出される。


長男は12年前に家を出た。歌手になるつもりだったが、一向に目が出ない。もうあきらめている。妻が妊娠しているが、生活のメドも立たない。できれば、父の家に戻ろうか、と考えている。とりあえず、住む家だけは、確保できるだろう。


しかし、、、


むかしから父とそりがあわない。顔をあわせると、口論になってしまう。


父は、毎日片道8キロの雪道を歩いて、鮭の孵化場へいく。そこに子供くらい年の離れた若い女性がいて、父はその子を気に入っている。結婚を申し込むが、どこまで本気なのか、自分でもわからない。


その女性は、ある日、あたたかい沖縄へ移住する、といって旅立っていく。


母の三周忌で父、長男夫妻、次男・・・が集まる。ここでも、父と長男は衝突して、とっくみあいの喧嘩になる。どちらも、折れることができない。


父も息子も、心では、家族と和解したいと望みながら、思いとは裏腹な行動に出てしまう。


初老の緒形拳が歩いて、歩いて、歩いて、終わる・・・。



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