もう20年以上も前だろうか・・・瀬戸内晴美(現:瀬戸内寂聴)の小説『夏の終り』を読んで鮮烈な感動を覚えた。内容が愛憎をめぐる地獄のような世界を描いているので、あまりひとに推薦しにくいけれども、それでもちょっと興味をもってくれそうなひとにはこの本の話をした。
その原作が、なぜいまなのかわからないが映画化されると知って(予告編で見て)、早く見たいとおもった。
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封切り日の8月31日、イオン板橋の第1回上映(9時20分はじまり)を、妻と妻の姉さんと3人で見る。
映画はほとんど、相澤知子(満島ひかり)、小杉慎吾(小林薫)、木下涼太(綾野剛)の3人しか出てこない。ストーリーは変化が乏しいが、相澤知子を間に、3人の心の揺れ動きをじっくりと追っていく。地味だが、見ごたえがある。
小林薫がうまいのは、むかしから疑いないが、満島ひかりも綾野剛もいい。満島ひかりは出ずっぱりだ。登場するたびに、おしゃれな洋服や美しい着物を着ている。年上の小杉慎吾はそれほど小説が売れている作家ではないので、彼女自身にそれだけの経済力がある、という理解でいいのだろうか。
満島ひかりは美しい女優だが、シーンによっては、醜く映る。それがおもしろい。美しい女も、状況によっては醜く見えることもある・・・という意図的な表現だとしたら、ちょっとこれは凄い!
じっくりと、最後まで味わい深く見た。