仕事へ行く妻に送ってもらって、9時過ぎの東武東上線で、池袋の新文芸坐へいく。いま、ここでは川島雄三監督の特集をやっている。
この日は、『銀座二十帖』と『女であること』の2本。
『銀座二十帖』(1955年)は、月丘夢路、三橋達也、北原三枝、浅丘ルリ子などが出演している。
中の話の展開よりも、昭和30年の銀座の隅々が全体から路地裏まで見られるのがうれしい。チラシを見たら、変貌していく銀座の姿を映像に残す目的もあって撮った、とある。
しかし、内容もおもしろかった。着物の似合う麗人・月丘夢路と、現代っ子の見本のようなスタイル抜群の北原三枝の、両極の美しさの対比。
浅丘ルリ子は、花屋さんで働く愛らしい子役。昭和30年は、わたしの弟の生まれた年でもあるが、ずいぶんそれから年月が過ぎたのだなあ、と可愛らしい子役の浅丘ルリ子を見ながら、感慨にふける。
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『女であること』(1958年)は、川端康成作品の映画化。原節子、香川京子、久我美子、森雅之、三橋達也、石浜朗などが出演。この時代の映画が好きなものには、登場する役者を見ているだけで、退屈しない。
森雅之をおもいがけず見ることができたのも、うれしい。淡々としたフツーの演技で、この俳優の普通感覚がだんだん好きになっていく。
原節子は、女優としては晩年で、小津作品などで見たような眩い美しさは、陰りがみえている。しかし、原節子を大きなスクリーンで見るのは、やっぱりうれしい。
『銀座二十帖』にも、『女であること』にも、三橋達也が出ていて、活躍する。このころの三橋達也は思いのほか、スター俳優だったのではないか。
映画を見ていたら、川端康成の原作も読んでみたくなった。
夜から仕事なので、カレーを食べて東武練馬のアパートへ戻る。