かぶとむし日記

映画、音楽、本の感想を中心に日記を更新しています。

等身大の女性を描く?〜映画『若い女』を見る。

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8月27日、月曜日。炎暑。


川越を出て、ユーロスペース(渋谷)へ、レオノール・セライユ監督の『若い女』を見にいく。早く着いたので、映画館近くの喫茶店で1時間ほどコーヒーを飲みながら、『天切り松 闇がたり』3巻を電子書籍で読む。


「天切り松」(主人公)の闇がたり(わずかな周辺だけに聞こえる特殊な話し方、だそうな)は、ますます弁舌冴えて、ものがたりの舞台は、大正の東京全土に広がっていく。1巻・2巻に永井荷風が登場したが、3巻には、竹下夢二もヒロイン・おこんの想い人として現れる。ますますおもしろくなってきた。


天切り松 闇がたり3 初湯千両 (集英社文庫)

天切り松 闇がたり3 初湯千両 (集英社文庫)




12時15分よりユーロスペースで、レオノール・セライユ監督・脚本の『若い女』を見る。



映画『若い女』予告編


嘘つき、泣き虫、見栄っぱり
何もかも失くした孤独なヒロイン


31歳のポーラは、10年付き合った写真家の恋人に突然別れを告げられる。お金も、家も、仕事も無い彼女は、恋人の飼い猫とともにパリを転々とするはめに。何をやっても裏目に出てしまい、意気消沈する中、ようやく自分の居場所を見つけたかに思えたが……。自由奔放でちょっとくせ者のヒロインが、新たな人生に向かって少しずつ前へと進んでいく。現代に生きるすべての女性に贈る、孤独と自由、そして希望の物語。


(映画の公式サイトより)
https://www.senlis.co.jp/wakai-onna/


パリで暮らす等身大の女性を描いたのであれば、その女性に共感あるいは魅力を感じないと、おもしろくない。国柄のちがいか、文化のちがいか、わたしにはこの女性になにも心惹かれるものがなかった。


以前、石井裕也監督の『夜空はいつでも最高密度の青色だ』(2017年)を見たとき、東京の街を、リックを背負って歩く池松壮亮、自転車で走る石橋静河・・・この等身大のふたりに強く惹かれてしまったが、そういう魅力は、『若い女』の主人公には感じることができなかった。


レオノール・セライユ監督は、1986年フランス生まれ、というから32歳になるかならないかの若い女性監督。きっと、もっと繊細に感じとってほしいものを映画にこめたのだとおもうけれど、残念ながらわたしには届いてこなかった。



映画館を出ると日差しが強い。ぶらぶら歩く気になれないので、近くにある、困った時の「磯丸水産」(24時間営業)で、まぐろ丼とホッピーで昼飯。『天切り松 闇がたり』3巻を読む。